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Abstract #3553
日本の進行大腸癌患者における1st-lineとしてのFIREFOX療法 (mFOLFOX6とFOLFIRIの4サイクルごとの交替療法) の検討:KSCC 0701試験 (第II相比較試験)
Phase II trial alternating mFOLFOX6 and FOLFIRI (FIREFOX) regimens in 1st-line treatment of advanced colorectal cancer in Japanese patients (KSCC 0701).
Yoshito Akagi, et al.
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背景

 本研究の目的は、進行大腸癌の1st-lineとしてのFIREFOX療法 (mFOLFOX6とFOLFIRIの交替療法) の有効性と安全性の検討である。特に、oxaliplatin (L-OHP) とirinotecan (CPT-11) とに関連する用量制限毒性として、神経毒性と下痢への影響を評価した。

方法

 対象はPS (ECOG) ≦2の前治療のない切除不能進行大腸癌患者とした。
 4サイクルのmFOLFOX6および4サイクルのFOLFIRIを交替で継続投与した。容認できない毒性または原疾患の増悪が起きるまで、治療を継続した。

Schedule

 一次エンドポイントは奏効率、二次エンドポイントは安全性、progression-free survival (PFS)、overall survival (OS) とした。

結果

 2007年7月-2008年6月の期間に48例が登録された (うち2例が不適格)。投与サイクル数の中央値は12サイクル (1-47サイクル) であった。
 奏効率は58.7% (95%CI:43.9-73.5) で、内訳はCRが1例 (2.2%)、PRが26例 (56.5%)、SDが14例 (30.4%)、PDが2例 (4.3%)、NEが3例 (6.5%) であった。PRinまでの期間中央値は2.5ヵ月であった。PFS中央値は10.3ヵ月 (95%CI:7.5-11.9)、2年OSは57.1% (19.9-82.3) であった。OSは中央値に達していない。

PFS

 Grade 3/4の有害事象は、血液毒性が白血球減少 (25.5%)、好中球減少 (55.3%)、血小板減少 (4.3%)、ヘモグロビン減少 (4.3%) などであり、非血液毒性は下痢 (2.1%)、発熱性好中球減少症 (4.3%)、嘔気 (4.3%)、嘔吐 (2.1%) などであった。神経毒性は1例も認めなかった。

結論

 FIREFOX療法は、進行大腸癌の1st-lineとして有効性および忍容性が高いことが示された。特にgrade 3/4の神経毒性は認められなかった。

コメント

 FIREFOX療法は神経毒性発現の低さが注目されるとともに、忍容性に優れる治療である。本試験の治療継続中止は、毒性による治療延期中止 (10.9%)、治療変更による中止 (2.2%)、毒性による投与基準外となった中止 (4.3%) である。一方、患者からの治療継続拒否は、毒性を理由にした治療継続拒否 (21.7%)、毒性以外の理由での治療継続拒否 (4.3%) であった。4人に1人の割合で患者から治療継続拒否があることについては、詳細な調査を求めたい。
 効果については、増悪を確認したとき、FOLFOXとFOLFIRIのどちらの効果がなかったのか把握しにくいといった点がある。治療オプションとして期待できるが、比較試験での検証が必要であろう。

(レポート:松阪 諭 コメント:佐藤 温)

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