瀧内:大腸癌領域では、second line以降の治療に分子標的薬が登場し、有望な結果が報告されていますね。そこで、胃癌領域においても分子標的薬への強い期待感があると思いますが、胃癌領域における分子標的薬の開発の現状はどうなっているのでしょうか。

大津:残念ながら胃癌においては、大腸癌のように有効性を示唆する結果が出た薬剤はありません。gefitinibも残念ながら効果がでませんでした。cetuximabよりさらにヒト化をすすめた抗EGFレセプターモノクローナル抗体EMD72000は、phase Iを終了し、近い内に胃癌に対してのphase IIが始まります。非常にtoxicityが少なく、大腸癌では20%近い奏効率が得られています。単剤でいくのか、併用でいくのかの検討がされると思いますが、併用でいければと思っています。その他期待されているのは、trastuzumabで、globalに共同で試験をする計画が進んでいます。ただ対象例はHER2陽性例だけになります。病理学的に検索した結果では分化型腺癌の20〜30%、未分化型も合わせてトータルでみると1%位で、おそらく限定した症例に対するものになります。さらにHER1とHER2のdual inhibitorのphase Iもすでに終わり、胃癌に対するphase IIが予定されていますが、まだ具体化していません。これもglobal試験として行う方向です。胃癌ではアジア主導になるのは間違いないと思いますので、アジアの国々と如何に共同で試験を組むかです。分子標的薬剤に限らず、胃癌の新薬に関しては、いずれにせよこれからですね。

瀧内:gefitinibで胃癌の治験をやる前には、非常に期待感が大きかったですから、結果には落胆しましたね。

大津:gefitinibは単剤で検討したのですが、大腸癌ではFOLFOX等との併用において大変高い奏効率が報告されていますので、もう一度併用で評価しなおす必要があると思っています。一度の試験結果で落胆することはなく、前向きに考えていきたいと思います。

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