瀧内:様々な新しい薬剤の登場によって、大腸癌治療の選択肢の幅が増えていますがその中で、動注療法の位置付けと言うものが難しくなってくるのではないかと思うのですが、荒井先生、いかがですか。
荒井:肝動注は、本当のところ技術も結構大変だし、何も無理に選択しなければならない治療法ではありません。他にもっといい治療法があればいつでも引っ込めよう、というのが僕の基本的なスタンスです。ただ実際には、IFLやFOLFIRIなどの併用療法でコントロールできない肝転移を5-FUの肝動注だけでコントロールできる場合も少なくありません。ですから、first
lineなど早い段階での肝動注の出番は減っていくだろうと思います。多くの進行再発大腸癌の患者さんの経過中には、肝転移が治療上、非常に重要な標的となる時期がしばしば発現する訳ですから、このような肝転移が予後規定因子となっている時期に肝動注をワンポイントで使うということに関しては、何ら躊躇する必要はないと思います。
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