レジメン講座 | 抗癌剤併用レジメンの投与法を解説します。

UFT/LV

*日本での承認用量は
 LV 75mg/day
 UFT 300〜600mg/day

 

Douillard JY, et al.: J Clin Oncol. 20(17): 3605-3616, 2002
Carmichael J, et al.: J Clin Oncol. 20(17): 3617-3627, 2002
Shirao K, et al.: J Clin Oncol. 22(17): 3466-3474, 2004

UFTは、5-FUのプロドラッグであるTegafurと5-FUの代謝を阻害するUracilの配合錠で、LVと併用することで効果増強が期待できる。MD Anderson Cancer CenterのPazdurらの第I/II相試験1)の後、切除不能進行・再発大腸癌に対する2つの第III相無作為化比較試験が行われ2, 3)、有効性を示した。その後、外挿のためのブリッジング試験が行われ、日本人における有効性および安全性が認められたため4)、本邦でも2003年7月に承認された。
また、治癒切除例に対する術後補助化学療法として、進行結腸癌術後stage II/IIIの1,608例を対象にUFT/LVと5-FU/LV(RPMI regimen)とを比較したNSABP C-06試験が行われた結果5)、stage II/IIIのいずれにおいても5年生存率で有意差はなく、ほぼ同等の効果と判断された。

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切除不能進行・再発大腸癌に対する2つの第III相試験の1つはDouillardらによるMayo regimenを対照にOSの非劣性を検証した試験2)で、もう1つはCarmichaelらによるMayo regimenを対照にTTPの優越性を検証した比較試験3)である。また、ブリッジング試験では、日本人と米国人患者との間における有効性、安全性、薬物動態の同等性を検討した4)

■有効性

各試験の有効性は、以下のとおりである。Douillardらによる試験での奏効率はMayo regimen群14.5%、UFT/LV群11.7%、TTP中央値はそれぞれ3.8ヵ月、3.5ヵ月、OS中央値はそれぞれ13.4ヵ月、12.4ヵ月と、Mayo regimenとほぼ同等の効果を示した。また、Carmichaelらによる試験では、UFT/LVはMayo regimenに対してTTPの優越性を認めなかった。
なお、ブリッジング試験における奏効率は、日本人36.4%、米国人34.1%と同等であった4)

  Douillard, et al.2) Carmichael, et al.3)
Mayo regimen
(n=407)
LV/UFT
(n=409)
p値 HR
(95% CI)
Mayo regimen
(n=190)
LV/UFT
(n=190)
p値 HR
(95% CI)
奏効率(%) 14.5 11.7 0.232 - 9.0 10.5 0.593 -
TTP中央値(月) 3.8 3.5 0.011 - 3.3 3.4 0.591 0.94
(0.75‐1.18)
OS中央値(月) 13.4 12.4 0.630 0.964
(0.826‐1.125)
10.3 12.2 0.226 1.14
(0.92‐1.42)

■安全性

Douillardらの試験におけるgrade 3/4の主な有害事象は、好中球減少、発熱性好中球減少症、白血球減少、貧血、血小板減少、粘膜炎/口内炎、感染症がUFT/LV群で有意に低く、総ビリルビンが有意に高かった2)。また、Carmichaelらの試験におけるgrade 3/4の主な有害事象は、好中球減少、発熱性好中球減少症、白血球減少、粘膜炎/口内炎がUFT/LV群で有意に低かった3)
ブリッジング試験における主な有害事象は以下のとおりである4)。Grade 3/4の血液毒性は日本人と米国人とでほぼ同等であった。Grade 3/4の下痢悪心嘔吐は日本人で低かったが、粘膜炎/口内炎は日本人で多くみられた。

Reference

  • 1) Pazdur R.: Oncology 54(Suppl 1): 19-23, 1997[PubMed
  • 2) Douillard JY, et al.: J Clin Oncol. 20(17): 3605-3616, 2002[PubMed
  • 3) Carmichael J, et al.: J Clin Oncol. 20(17): 3617-3627, 2002[PubMed
  • 4) Shirao K, et al.: J Clin Oncol. 22(17): 3466-3474, 2004[PubMed
  • 5) Lembersky BC, et al.: J Clin Oncol. 24(13): 2059-2064, 2006[PubMed
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