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Orlando,FL

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その他の消化器癌に関する注目演題

胆道癌の治療

瀧内 では、最後に胆道癌のABC-02試験(#4503)です。

大村 進行あるいは転移を有する胆道癌は発生頻度が低いこともあり、標準的治療が確立していません。ABC-02の前に行われた無作為化第II相試験(ABC-01試験)では、gemcitabine(GEM)単独群に比べ、GEM+CDDP群において奏効率、PFS、TTP、疾患制御率が向上する5) ことが報告されましたが、生存に寄与するかは不明でした。
今回発表されたABC-02試験は、ABC-01試験を継続・発展させた第III相無作為化試験で、400例を無作為割り付けしました。その結果、有害事象はGEM+CDDP群で血液毒性の発現率が少し高いものの、Grade3以上の全有害事象の発現率は、GEM単独群(65.5%)とGEM+CDDP群(64.2%)と差はありませんでした。ITT解析によるPFSはGEM単独群が6.5ヵ月、GEM+CDDP群が8.4ヵ月で約2ヵ月の有意な延長を認めました。OSもそれぞれ8.3ヵ月、11.7ヵ月で3.4ヵ月の有意な上乗せ効果が認められました。これは、GEM単剤にCDDP併用が勝った初めての試験です。

瀧内 わが国でもGEMが胆道癌に使えるようになりましたし、positiveな結果が出たので実臨床で使いたいところですが、残念ながらCDDPの適応がないのです。

佐藤 確かに保険適用は難しい問題ですが、有用性が示されたのでやはり使いたいですね。ただ、GEMは単独投与でも完遂率が低いので、まずは全身状態のよい症例(PS0/1)を選んで行う必要があるかと思います。

大津 日本からも、本試験とほぼ同じようなデータが報告されていました(Furuse J, et al. #4579)。研究者が承認申請を行うことは大変な作業ではありますが、患者さんのことを考えれば、誰かが行動を起こさないといけません。日本は海外に比べると胆道癌の頻度が高いですから。

佐藤 現在も胆道癌や膵癌の臨床試験を行ってはいますが、ほとんどが小規模試験です。

瀧内 きちんとした試験を行えば、世界のスタンダードとなるような治療法を確立できるかもしれません。これを機会に、少しずつ多施設共同試験に参加しようという方向に進むとよいですね。

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