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Orlando,FL

2009年 米国臨床腫瘍学会年次集会トップページ
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寄せる期待

大村健二 先生
大村健二 先生

 21世紀が幕を開けた2001年、米国臨床腫瘍学会年次集会はロサンゼルスで開催されました。その年から始まった学会レポートは、今年で9回を数えます。今年も静岡県立静岡がんセンターの寺島先生、大阪医科大学の瀧内先生、昭和大学の佐藤先生とともに、会場の熱気が伝わるようなレポートを皆様にお届けします。  2009年 米国臨床腫瘍学会年次集会では、昨年に初期の安全性が報告されたNSABP C-08試験について、少なくとも遅発性の有害事象に関する報告があるのではと思っています。我が国の癌化学療法関連の学会を席巻している感すらある抗体製剤ですが、使用する価値を有するかについて多角的に検証する必要があります。 また、消化器癌の治療におけるsmall molecule製剤の巻き返しにも期待しています。
 消化器癌化学療法に関する豊富で質の高い情報をお届けする「消化器癌治療の広場」のなかでも、学会レポートは最も重要なコンテンツの一つです。スタッフ一同、身の引き締まる思いで2009年5月29日に目を向けています。どうぞよろしくお願いします。

寺島 雅典 先生
寺島 雅典 先生

 今年も、主要演題の速報を担当させていただくことになりました。今年は非常に悲しいことに、これまで5年間にわたり、ずっと御指導を賜っておりました久保田哲朗先生がいらっしゃいません。 それでも、久保田先生の御意志を尊重させていただき、臨床医の目から厳選した演題を、より早く日本の先生方にご提供できればと考えております。最近はこうした米国臨床腫瘍学会年次集会速報に関するWebが多数出現しておりますが、どれも製薬会社が記者に書かせた原稿を医師が監修する、という形をとっております。 久保田先生は、あくまでも医師が自分で取材し、自分の言葉で伝える事を非常に重んじていらっしゃいました。
 今年の米国臨床腫瘍学会年次集会におきましても、分子標的治療薬に関する発表が大きな注目を浴びることと思いますが、治療の個別化の可能性に特に着目し、我々臨床医の目でみて感じたことをそのまま記事にして、皆様にお伝えしたいと思います。

瀧内 比呂也 先生
瀧内 比呂也 先生

 2008年 米国臨床腫瘍学会年次集会最大のトピックとして、cetuximabのバイオマーカーとしてのKRAS statusが大きく取り上げられた。これは大腸癌における個別化治療の始まりを強く印象づける結果となった。 2009年 米国臨床腫瘍学会年次集会では、進行・再発大腸癌のみならず、補助化学療法の分野においても個別化治療のさらなる進歩が期待される。 さらにNSABP C-08試験(FOLFOX±bevacizumab)の発表が行われるとの情報もあり、bevacizumabの術後補助化学療法における効果が明らかになり、我が国の治療戦略に大きな影響をおよぼすことになると思われる。
 また、胃癌領域においては、我が国と韓国が中心となって行った国際共同治験であるToGA試験において、HER2陽性患者に対するtrastuzumabの上乗せ効果が示されたとのプレスリリースがなされている。 実際にどのような結果が発表されるのか、大変興味深いところである。
 近年、消化器癌治療は、分子標的治療薬によって大きく進歩した。2009年 米国臨床腫瘍学会年次集会では、さらなる分子標的治療の進歩と個別化医療の進歩に期待したい。

佐藤 温 先生
佐藤 温 先生

 平素、消化器癌治療の広場では編集委員として参加させていただいております。本年は厚生連高岡病院の大村健二先生、静岡県立静岡がんセンターの寺島雅典先生、大阪医科大学の瀧内比呂也先生とご一緒に発表演題のレポートを担当させていただくことになりました。
 注目は、HER2陽性の進行胃癌患者に対するcapecitabine(Xeloda)または静注5-FU+cisplatinの治療群と、trastuzumab(Herceptin)を加えた治療群を比較検討した第III相臨床試験(ToGA試験)の中間解析報告であります。本試験は本邦も参加している大規模な国際臨床試験であり、さらにもうすでに生存に対する有用性が事前報道されております。
 昨年の2008年 米国臨床腫瘍学会年次集会ではKRAS変異に対するcetuximab(Erbitux)の治療効果予測についての報告が大きな注目を集めました。これらのように、今後は消化器癌も乳癌と同様に、手術後の標本の解析から個別化した治療戦略が立てられる時代に突入していくものと胸をわくわくさせております。

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