虎の巻 編集会議 大腸癌化学療法編
第3回 分子標的治療薬の巻
2. ベバシズマブの併用レジメン
久保田 NCCNのガイドライン(図1では、1st-lineにFOLFOX+ベバシズマブ、CapeOX(XELOX)+ベバシズマブ、FOLFIRI+ベバシズマブ、LV/5-FU+ベバシズマブと、すべてベバシズマブが入っており、2nd-lineからセツキシマブが入ってきます。今後、日本において、ベバシズマブは1st-line に追加されるのでしょうか。

加藤 FOLFOX+ベバシズマブの1st-lineのエビデンスは、NO 16966試験2) のみだと思いますが、先生方は、FOLFOX+ベバシズマブのエビデンスについてどのように説明されていますか。

久保田 NO 16966試験は、当初、1st-lineとしてのXELOXとFOLFOXを比較する予定でしたが、途中からFOLFOX/XELOX+プラセボ vs. FOLFOX/XELOX+ベバシズマブという2×2のデザインに変更され(図2、化学療法とベバシズマブを併用することでprogression free survival(PFS)が有意に改善することが示された臨床試験ですね。

 ベバシズマブのエビデンスにはいろいろな解釈があり、「イリノテカン(CPT-11)のほうがベバシズマブとの相性がよいのではないか」という意見もあるのですが、私自身はFOLFOX+ベバシズマブのほうがよいと思っています。また、IFL3) に比べてFOLFOX自体の成績が優れていたので、天井効果になっているのではないでしょうか。FOLFOXにしろIFLにしろFOLFIRIにしろ、ベバシズマブを追加した1st-line の成績はPFSで10ヵ月が最長であり限界であるという気がします。

佐藤 実地臨床においても、FOLFOXよりFOLFOX+ベバシズマブのほうが切れ味よく、長く継続できていることを実感します。

久保田 ただ、ベバシズマブはセツキシマブに比べて、明確な効果予測因子がないのが問題ですね。血中のVEGF(血管上皮増殖因子)やVEGFR(血管上皮増殖因子受容体)では、どのぐらい効果が得られるのかを予測できません。

佐藤 効果予測因子については、今後多数の試験から追加解析が報告されてくるものと思います。

久保田 いずれにしても、日本ではまだ使い始めたばかりですが、将来的には1st-lineにすべてベバシズマブを追加するようになる可能性は十分にあるということですね。

図1 NCCN 結腸癌治療ガイドライン (V. I. 2008) 治療法選択チャート
図1 NCCN 結腸癌治療ガイドライン (V. I. 2008) 治療法選択チャート

図2 NO16966試験 試験デザイン
図2 NO16966試験 試験デザイン
 
   
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