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Abstract #541
切除不能進行・再発大腸癌におけるPanitumumabの有効性と安全性に関するレトロスペクティブ・コホート試験: HGCSG 1002試験 〜Cetuximab不応患者に対するPanitumumabの有効性と安全性の解析結果〜
Retrospective Cohort Study on the Safety and Efficacy of Panitumumab for Metastatic Colorectal Cancer Patients: HGCSG 1002 -Analysis of after Cetuximab Refractory-
Yoshimitsu Kobayashi, et al.
日常臨床におけるPanitumumab投与に関する詳細検討の結果報告
Cetuximab不応後のPanitumumab投与は前向き試験に期待
Cetuximab不応後のPanitumumab投与は前向き試験に期待
Kobayashiらは、すでに同じ抗EGFR抗体薬であるCetuximab (Cmab) 不応後に本剤を使用した症例 (n=44) についての解析を報告している。Cmab不応後のPmab投与に関しては、すでに海外からいくつかの報告がなされており1, 2)、その有効性に関してはcontroversialである。
今回の解析では、抗EGFR抗体薬未使用の症例においては既報と同様の結果であり3)、日常臨床においてもPmabの有効性が示された結果であった。一方、Cmab不応後の症例においては奏効例が4例 (9.1%) 、OS (overall survival) 中央値は6.8ヵ月と報告されているが、PFS (progression-free survival) をみると、多くの症例は初回評価で増悪となっており、有効性に関して結論付けることは難しいと思われる。Kobayashiらも述べているが、あくまでも今回の発表はレトロスペクティブな解析であり、本グループにおいて同様の症例を対象に登録を開始している第II相臨床試験の結果を待ちたい。
Pmabは2010年に日本で承認され、すべてのラインで効果が確認されている4-6)。Cmab不応例におけるPmab単独投与の有効性を検討したPANERB試験やWadlowらなどの報告があるが1, 2)、Cmab投与後に増悪した症例に対するPmabの有効性は結論付けられていない。
そこで、抗EGFR抗体薬未使用例 (EGFR-Ab-naïve) とCmab不応例 (Cmab refractory) に対するPmabの有効性と安全性をレトロスペクティブに評価した。
そこで、抗EGFR抗体薬未使用例 (EGFR-Ab-naïve) とCmab不応例 (Cmab refractory) に対するPmabの有効性と安全性をレトロスペクティブに評価した。
HGCSG 1002試験では、2010年6月〜2011年10月に20施設で治療された症例のうち、20歳以上で病理学的検査においてKRAS 野生型大腸癌と確認され、Pmabによる治療を行った200例を対象として解析を行った。
なお、有害事象はCTCAE ver.4.0、腫瘍効果はRECIST ver.1.1、PFS / OSはKaplan-Meier methodを用いて評価した。また、奏効率 / 病勢コントロール率はFisher's exact test、PFS / OSはlog-rank testを用いて統計解析を実施した。
なお、有害事象はCTCAE ver.4.0、腫瘍効果はRECIST ver.1.1、PFS / OSはKaplan-Meier methodを用いて評価した。また、奏効率 / 病勢コントロール率はFisher's exact test、PFS / OSはlog-rank testを用いて統計解析を実施した。
HGCSG 1002試験に登録された200例のうち5-FU / CPT-11 / L-OHP不応となった症例は142例であり、そのうちPmab単独投与された93例を解析した。Cmab refractory群は44例、EGFR-Ab-naïve群は49例であった。なお、両群間で患者背景、有害事象に差はなかった。
奏効率はCmab refractory群9.1%、EGFR-Ab-naïve群10.2%であり、病勢コントロール率はCmab refractory群38.6%、EGFR-Ab-naïve群55.1%とEGFR-Ab-naïve群で良好な傾向にあった (p=0.15) 。
また、PFS中央値はCmab refractory群2.8ヵ月、EGFR-Ab-naïve群3.1ヵ月であり、EGFR-Ab-naïve群で延長する傾向がみられた (p=0.10) (図1)
奏効率はCmab refractory群9.1%、EGFR-Ab-naïve群10.2%であり、病勢コントロール率はCmab refractory群38.6%、EGFR-Ab-naïve群55.1%とEGFR-Ab-naïve群で良好な傾向にあった (p=0.15) 。
また、PFS中央値はCmab refractory群2.8ヵ月、EGFR-Ab-naïve群3.1ヵ月であり、EGFR-Ab-naïve群で延長する傾向がみられた (p=0.10) (図1)
一方、OS中央値はCmab refractory群6.8ヵ月、EGFR-Ab-naïve群9.5ヵ月であり、EGFR-Ab-naïve群で有意に延長していた (p=0.04) (図2)
Pmabは日常臨床において、強い前治療を受けた切除不能進行・再発大腸癌患者に対して、安全に施行されていた。病勢コントロール率やPFSはCmab refractory群に対してEGFR-Ab-naïve群で良好な傾向にあり、OSはEGFR-Ab-naïve群が有意に延長するなど、Cmab refractory群に対するPmab投与は、EGFR-Ab-naïve群に匹敵する効果はみられなかった。
現在、HGCSGでは、切除不能進行・再発大腸癌におけるCmab不応例に対するPmabの効果を確認する第II相試験を実施中である。
現在、HGCSGでは、切除不能進行・再発大腸癌におけるCmab不応例に対するPmabの効果を確認する第II相試験を実施中である。
Reference
1) Metges J, et al.: J Clin Oncol. 28 (suppl): abstr e14000, 2010
2) Wadlow RC, et al.: Oncologist. 17(1): 14, 2012 [PubMed]
3) Amado RG, et al.: J Clin Oncol. 26(10): 1626-1634, 2008 [PubMed]
4) Douillard JY, et al.: J Clin Oncol. 28(31): 4697-4705, 2010 [PubMed]
5) Peeters M, et al.: J Clin Oncol. 28(31): 4706-4713, 2010 [PubMed]
6) van Cutsem E, et al.: J Clin Oncol. 25(13): 1658-1664, 2007 [PubMed]
1) Metges J, et al.: J Clin Oncol. 28 (suppl): abstr e14000, 2010
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5) Peeters M, et al.: J Clin Oncol. 28(31): 4706-4713, 2010 [PubMed]
6) van Cutsem E, et al.: J Clin Oncol. 25(13): 1658-1664, 2007 [PubMed]
関連リンク
・ESMO 2012 abst #572P 「PANERB STUDY: Cetuximabベース化学療法後に増悪した切除不能進行・再発大腸癌に対するPanitumumabによる治療でベネフィットを得られる症例とは?」
・2011年 米国臨床腫瘍学会年次集会 abst #3510 「切除不能進行・再発大腸癌初回治療例に対するPanitumumab + FOLFOX4療法とFOLFOX4療法の無作為化比較第III相試験 (PRIME試験): 最終報告」
・2012年 消化器癌シンポジウム abst #387 「切除不能進行・再発大腸癌2nd-line治療例に対するPanitumumab + FOLFIRI療法とFOLFIRI療法の無作為化比較第III相試験 (20050181試験) :最終報告」
・2013年 消化器癌シンポジウム abst #554 「切除不能進行・再発大腸癌におけるPanitumumabの有効性と安全性に関するレトロスペクティブ・コホート試験: HGCSG 1002試験 〜Panitumumabの有害事象に関する解析結果〜」
・2013年 消化器癌シンポジウム abst #593「切除不能進行・再発大腸癌におけるPanitumumabの有効性と安全性に関するレトロスペクティブ・コホート試験: HGCSG 1002試験 〜臨床におけるPanitumumab投与早期の効果予測因子に関する解析結果〜」
・ESMO 2012 abst #572P 「PANERB STUDY: Cetuximabベース化学療法後に増悪した切除不能進行・再発大腸癌に対するPanitumumabによる治療でベネフィットを得られる症例とは?」
・2011年 米国臨床腫瘍学会年次集会 abst #3510 「切除不能進行・再発大腸癌初回治療例に対するPanitumumab + FOLFOX4療法とFOLFOX4療法の無作為化比較第III相試験 (PRIME試験): 最終報告」
・2012年 消化器癌シンポジウム abst #387 「切除不能進行・再発大腸癌2nd-line治療例に対するPanitumumab + FOLFIRI療法とFOLFIRI療法の無作為化比較第III相試験 (20050181試験) :最終報告」
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