現地座談会

1st-lineにおける比較試験

#LBA3506:FIRE-3試験
KRAS 野生型患者の1st-lineにおけるBevacizumabとCetuximabのhead to head試験

室:続いて話題を1st-lineに移したいと思います。FIRE-3試験は、今年の米国臨床腫瘍学会の大腸癌におけるメインテーマであり、大きな注目を集めた演題です。谷口先生にレポートしていただきます。

谷口:KRAS 野生型の切除不能進行・再発大腸癌の1st-lineとしてのFOLFIRI + BevとFOLFIRI + Cetuximabの直接比較試験です。主要評価項目のITT集団における奏効率はBev群58%、Cetuximab群62%と有意差はありませんでしたが (odds ratio=1.18, p=0.183)、評価可能集団 (3サイクル以上投与し、CT検査が1回以上行われた症例) に限定すると、Cetuximab群で有意に良好でした (odds ratio=1.52, p=0.017)。また、PFSに有意差は認められませんでしたが (HR=1.06, p=0.547) (図5)、OSは中央値がBev群25.0ヵ月に対してCetuximab群28.7ヵ月であり、Cetuximab群が有意に良好でした (HR=0.77, p=0.017) (図6)

 なお、2nd-lineの施行割合はBev群で61.7%、Cetuximab群で65.7%であり、また、Cetuximab群においてBevが投与された症例が48.2%、Bev群で抗EGFR抗体が投与された症例が42.9%でした。有害事象に関しては既報の通りです。

室:それでは、監修の小松先生お願いします。

小松:今年のGastrointestinal Cancers Symposiumでは、1st-lineにおけるFOLFOX + BevとFOLFOX + Panitumumabを比較したPEAK試験が報告され、さらに今回の発表が続いたので注目が集まりました。主要評価項目がなぜ奏効率なのか興味がありましたが、本試験はもともと無作為化第II相試験として開始され、当初の主要評価項目である奏効率がそのまま残ったようです。

 FIRE-3試験は、主要評価項目である奏効率で有意差を示せなかったので、試験としてはnegativeですが、臨床において大きな意味を持つOSで3.7ヵ月の延長が示され、HRも0.77でした。OSのKaplan-Meier曲線は24ヵ月以降で大きく開いており、ディスカッサントも「What is happening after 24 months?」と指摘していました。2nd-line以降の治療が影響したと考えるところですが、発表では「deepness of response」に言及していました。つまり、奏効の評価としては同じPRでもCetuximabによる奏効は深く、その深さがOSに影響を与えるということです。ただし、これはあくまでも仮説です。これからCT検査等の詳細な解析を行い、今後の学会で報告されるようです。

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