切除不能進行・再発大腸癌に対する1st-lineとして、3剤併用のFOLFOXIRI療法は奏効率60%を示す強力なレジメンである
1)。一方、
FIRE-3試験や
PEAK試験では、2剤併用レジメンに対するBevacizumab併用と抗EGFR抗体薬併用を比較したが、
RAS 野生型においても奏効率に有意差は認められなかった
2, 3)。しかし、FIRE-3試験における独立画像評価ではFOLFIRI + Cetuximab群はFOLFIRI + Bevacizumab群に比べ、早期奏効率が有意に高く、より深い奏効が得られることが示されている
4)。今回、
RAS および
BRAF 野生型切除不能進行・再発大腸癌患者における1st-lineとしてのFOLFOXIRI + BmabとFOLFOXIRI + 抗EGFR抗体薬の抗腫瘍効果への影響を明らかにするために、GONO groupによって施行された3つの臨床試験を後ろ向きに解析した。
切除不能進行・再発大腸癌に対しFOLFOXIRI併用療法を施行した以下の3つの臨床試験のうち、
KRAS (codon 12、13、61)、
NRAS (codon 12、13、61)、
BRAF (codon 600) 野生型で、奏効の評価可能症例を対象とした。
<FOLFOXIRI + 抗EGFR抗体薬 (抗EGFR抗体薬群)>
・
TRIP試験 (37例):FOLFOXIRI + Panitumumab、最大12サイクル
・MACBETH試験 (64例):FOLFOXIRI + Cetuximab、最大8サイクル
<FOLFOXILI + Bevacizumab (Bev群)>
・
TRIBE試験 (62例):FOLFOXIRI + Bevacizumab療法、最大12サイクル
奏効の深さ (deepness of response: DoR) は、治療開始から8サイクル以内で最も効果が得られた時点での、RECIST標的病変の最長径和におけるベースラインからの相対変化量と定義した。また、治療開始から8週時点でのRECIST標的病変の最長径和におけるベースラインからの縮小率を早期腫瘍縮小 (early tumor shrinkage: ETS) とし、20%超の縮小を早期奏効例と定義した。
抗腫瘍効果は、抗EGFR抗体薬群がCR 4例 (4%)、PR 79例 (78%)、Bev群はCR 2例 (3%)、PR 42例 (68%) であり、奏効率は抗EGFR抗体薬群82%、Bev群71%と抗EGFR抗体薬群で良好な傾向にあったものの有意差は認められなかった (p=0.120)
(表1)。
表1
ETSが20%超であった症例は、抗EGFR抗体薬群74%、Bev群62%と有意差は認められなかったが (p=0.150)、ETS中央値はそれぞれ40.8%、26.4%であり、抗EGFR抗体薬群で有意に良好であった (p=0.003)
(表2)。
表2
4ヵ月時点におけるDoR中央値は、抗EGFR抗体薬群48.6%、Bev群37.8%であり、抗EGFR抗体薬群で有意に良好であった (p=0.0047)
(図)。
図
1) Falcone A, et al.: J Clin Oncol. 25(13): 1670-1676, 2007 [
PubMed]
2) Heinemann V, et al.: Lancet Oncol. 15(10): 1065-1075, 2014 [
PubMed]
3) Schwartzberg LS, et al.: J Clin Oncol. 32(21): 2240-2247, 2014 [
PubMed]
4) Heinemann V, et al.: WCGI 2014, O-0030