吉野:次に結城先生から、2nd-lineにおけるTumor Locationについて検討したRAISE試験の結果をご紹介いただきます。
結城:RAISE試験は、1st-lineでBevacizumab+Oxaliplatin+フッ化ピリミジン系製剤を用いて治療中あるいは治療後に病勢進行が認められた切除不能大腸癌患者を対象に、2nd-line でFOLFIRI+Ramucirumab vs. FOLFIRI+プラセボを比較した試験です。主要評価項目であるOSはRamucirumab群で有意に延長したことから、2nd-line におけるFOLFIRI +Ramucirumabの有効性が証明されました3)。
RAISE試験の原発巣部位によるサブグループ解析の結果を表1に示します。OS中央値は、原発部位が左側ではRamucirumab群14.5ヵ月、プラセボ群12.0ヵ月、原発巣が右側ではそれぞれ12.7ヵ月、11.6ヵ月でした。PFS中央値は、左側ではそれぞれ6.0ヵ月、4.4ヵ月、右側ではそれぞれ5.6ヵ月、4.5ヵ月でした。治療×原発部位の交互作用のp値は、OS、PFSのそれぞれで0.276、0.578と有意差は認められませんでした。この結果から、2nd-lineのFOLFIRI+Ramucirumabは、原発部位にかかわらず有効性が期待できるレジメンと考えられます。
吉野:ありがとうございました。しかし、抗体薬同士の比較試験ではないので、2nd-line における抗体薬の使い分けの参考となるデータではないと思います。
植竹:同感です。
谷口:交互作用のp値を見ても0.1よりも大きく、有意な傾向もないことから、左右ともにRamucirumabの上乗せ効果はあるという理解でよいのではないでしょうか。しかし、あくまで化学療法+プラセボと比較した結果ですから、Ramucirumabが原発部位にかかわらず他の抗体薬に比べて有用であると結論づけることはできません。
山口:結城先生にご紹介いただいたRAISE試験のサブグループ解析の結果をみますと、OS、PFSのいずれについてもRamucirumab群とプラセボ群であまり差はないと思うのですが、Ramucirumab併用のコストとベネフィットのバランスに関する議論は生じないのでしょうか。
吉野:生じると思います。Ramucirumabは欧州ではほとんど使用されていません。Ramucirumabのコストに見合う有効性を示したデータがないからだと思います。今後は抗VEGF抗体薬のAfliberceptも2nd-lineで使用できるようになりますから、早くバイオマーカーなどがわかるとありがたいですね。

