
吉野:本日は、University of NantesのJean-Yves Douillard先生をお招きして「切除不能大腸癌1st-line治療」について議論していきたいと思います。
欧州・日本でのKRAS 野生型切除不能大腸癌における1st-line治療の傾向について、2012年時点の市場調査データを参考にすると、欧州での市場占有率は抗EGFR抗体薬併用レジメン、Bev併用レジメン、分子標的薬併用なしの順番であり、抗EGFR抗体薬がBevを上回っています。一方、日本での市場占有率はBev併用レジメン、分子標的薬併用なし、抗EGFR抗体薬併用レジメンの順番となり、分子標的薬が併用されないことも多いです。
また、2010年に改訂された日本の大腸癌治療ガイドラインでは、KRAS 野生型の1st-lineから3rd-lineまでPanitumumabとCetuximabは同じように位置づけられています。なお、日本でも2013年3月25日にRegorafenibが承認され、使用できる薬剤の状況は欧州とよく似ています。
今年の米国臨床腫瘍学会では、1st-lineにおいてBevとCetuximabをhead-to-headで比較したFIRE-3試験、術前術後補助化学療法におけるCetuximabの上乗せ効果を検討したnew EPOC試験の結果が発表されました。また、1st-lineにおけるPanitumumabの無作為化比較試験であるPRIME試験、PEAK試験のupdate解析も報告されています。
本座談会では、これら最新の報告がKRAS 野生型切除不能大腸癌の1st-line治療にどのような影響を与えるのか議論していきます。まずは、Douillard先生に欧州における切除不能大腸癌の1st-lineの現状についてレクチャーしていただきます。