現地座談会

1st-lineにおける比較試験

#3620:PRIME試験
1st-lineにおけるFOLFOX4 ± PanitumumabのOSに関するupdate解析

室:同じく1st-lineの演題として、PRIME試験のOS updateに移ります。坂東先生お願いします。

坂東:1st-lineにおけるFOLFOX4 + Panitumumab をFOLFOX4単独と比較したPRIME試験は、これまでOSイベント54%時点で初回解析、68%時点で最終解析が行われています。そして今回、82%のOSのイベントが起こった時点でのOS解析結果が報告されました。KRAS 野生型におけるOS中央値はFOLFOX4群19.4ヵ月に対してFOLFOX4 + Panitumumab群23.8ヵ月であり、OSに有意差が認められました (HR=0.83, p=0.027) (図7)。一方、KRAS 変異型のOSは既報の通りFOLFOX4 + Panitumumab のほうが劣る傾向がみられました (HR=1.16, p=0.162) (図8)

室:監修の寺島先生、いかがでしょうか。

寺島:イベント数が最終解析の445例から535例に増加したことで、HRが0.88から0.83に、p値が0.17から0.027に変化し、OSに有意差が認められました。これは、KRAS 野生型の1st-lineにおいて抗EGFR抗体が非常に有用であることを示唆していると考えます。

室:今回のPRIME試験のOS updateではOSに有意差を認め、p=0.027と5%を下回ることが報告されました。このデータの評価については、2つのポイントが挙げられると思います。

 第一に、検定を繰り返すことにより偽陽性の可能性が生じる「検定の多重性」についての指摘です。統計家に伺ったところ、主要評価項目がPFSであるため、初回解析におけるOSはイベント数不足でimmatureであり、長期追跡により多重性の問題よりも、推定の精度を高める意義があるとの認識でした。実際、過去の解析とforest plotを比較すると、信頼区間の幅が狭くなっており、精度が高まっていることがわかります。

 第二に、副次評価項目であるOSのupdateデータをどのように評価すべきかです。米国FDAやEMAでは、OSが副次評価項目の場合にはupdateの解析を要求するそうです。乳癌においては主要評価項目であるPFSで差を認めたにもかかわらず、副次評価項目のOSで差を認めない試験が続いたため米国でBevが承認取り消しになった例もあり、副次評価項目であってもOSは重要視されるとのことでした。

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