消化器癌治療の現場から 〜外来化学療法編〜 | 消化器癌への様々な取り組みをご紹介します。
第1回 慶應義塾大学病院包括先進医療センター 外来化学療法部門(取材日:2005年11月11日)
 Interviewer: 佐藤温先生(昭和大学)


Q. 薬剤の調製はどのように行っていますか。

A: 専用の調剤室が併設されており、そこで専任薬剤師2名が調製にあたっています。薬剤による被曝を防ぐため、クリーンベンチ1台と安全キャビネットを1台設置し、保護メガネ、マスクを着用することが決められています。薬剤はセンター内の保管庫に保管されており、当日のオーダーの入っている分だけを専用調剤室に運んでくることになっています 。

抗がん剤調整を行うサテライトファーマシー。安全キャビネット1台とクリーンベンチ1台が並列に設置されている

Q. リスクマネジメントとして実施されていることは何ですか。

A: 投与前日にオーダーの内容と履歴とを合わせて内容をチェックします。当日は、調製までの段階で薬剤師がダブルチェックし、準備の段階で看護師がダブルチェック、そして投与時に患者さん・医師・看護師で最終のチェックを行っています。これらの手順を一覧にしたマニュアルシートを見ながら、確実に行っていくよう心がけています。また、内容に疑問があるときはセンターから直接、オーダーした担当医に連絡し、再確認します。

Q. ルート確保、IVHの挿入・留置、ポートの留置・抜針は誰が行いますか。

A: ルート確保は、薬剤投与の場合は医師が、輸血の場合は看護師が行っています。以前は輸血も医師が行っていたのですが、看護師の業務へと移行させました。今後は、できればルート確保全般を看護師が行うようにしていきたいと思っています。 IVHやポートの挿入・留置は、当院では消化器外科が行っています。また、FOLFOX 4は入院で行っていますが、FOLFOX 6は外来で行っています。この場合は投与ルートとしてポートが留置されることがほとんどです。外来FOLFOX 6における抜針は基本的に看護師の指導により、在宅で患者さん自身に行っていただきます。しかし不安だという申し出があれば、来院していただき、看護師が行います。

Q. センター内で治療中の患者さんは、どのように過ごされているのでしょう。

リクライニング式のシート。ベッドと合わせて20床の治療スペース

A: 室内には音楽を流し、リラックスしていただけるようにしています。現在はテレビなどの設備はありませんが、移転後は設置していきたいと思っています。テレビの設置は、ビデオによる患者教育などにも有効だと考えています。治療が長時間にわたる方もいらっしゃいますので、飲食は自由にとれるようにしています。ただし、院外への外出は許可していません。

図2:施設見取り図

施設見取り図

全体の広さは156m2。既存の施設を利用しているための制限もあるが、できるだけスタッフからの目が届きやすいように配置されている(看護師席から全てが見渡せる)


前のページへ 次のページへ

このページのトップへ