この面談ではまず,患者が再発をどの程度意識(予期)しているかを確認する作業がなされていません.再発時の精神的動揺は再発を予期していなかった患者において,より強いとされています.もし,前回診察時の説明にもかかわらず患者が再発をあまり意識していないようなら,再発を伝える前にそのギャップを埋める作業が必要です. また,再発を言葉に出して伝える事(【H:明確に伝える】)は良いのですが,その後すぐに治療の話に移っています.しばらく沈黙の時間(【RE:感情の表出を受け止める】) をとる,もしくは,治療の説明をする前に,「大丈夫ですか?」(【RE:いたわる言葉を かける】)や「驚かれましたよね」(【RE:感情表出を促す】)などの言葉をかける(【RE: 患者の気持ちに配慮】)ことが大切です.
検査の意義を確認する作業は,すなわち患者が再発をどの程度意識(予期)しているかを確認する作業です.再発時の精神的動揺は再発を予期していなかった患者において,より強いとされています.ここでは検査の意義の確認(振り返り)がなされています(【H:認識の確認】).また,前置き(【RE:心の準備ができる言葉かけ】)をすることで,患者は悪い知らせを伝えられるということを事前に理解し,ある程度気持ちの準備ができます.さらに,再発についてもわかりやすい言葉で説明(【A:医学情報の提供】,【H:明確に伝える】)されており,これらの点でとても良い対応だと考えられます.
検査結果を見ながら独り言のように話をする姿は,患者に説明する場面ではふさわしくないと考えられます.1年半の外来通院歴があるといえども,「親しき仲にも礼儀あり」です. また,検査結果もきちんと説明(【H:明確に伝える】)されていません.このような口調や態度(【S:丁寧な姿勢】の欠如)では,患者の不安を増幅させてしまうことになります.このため,残念ながら良い対応とは言えません.(是非,A, Bの解説もお読みください)