試験プロトコールでは、2nd-lineレジメンはCetuximab群がFOLFOX + Bevacizumab、Bevacizumab群はIrinotecan (CPT-11) + Cetuximabが推奨されたが、レジメンの選択は担当医の裁量に任された。2nd-lineとは1st-lineに用いた薬剤とは別の新たな薬剤による治療であり、2nd-lineの治療期間は2nd-line治療薬の初回投与から最終投与までと定義した。また、2nd-lineのPFS (PFS2) は、2nd-line開始から病勢進行または死亡までとし、2nd-lineのOS (OS2) は2nd-line開始から死亡までの期間とした。なお、本解析のデータのカットオフ日は2014年8月22日とした。
1st-lineのITT集団592例のうち2nd-lineを施行されたのは414例 (
RAS 野生型275例) で、3rd-line以降の治療も受けたのは256例 (
RAS 野生型177例) であった。
RAS 野生型の2nd-lineにおけるCetuximabとBevacizumabのクロスオーバーの割合は両群で同様であり、2nd-lineにおけるOxaliplatin (L-OHP) 投与率、2nd-line以降におけるCPT-11投与率も両群で同様であった
(表)。
2nd-lineの治療期間は、
KRAS exon 2野生型および
RAS 野生型ともにCetuximab群がBevacizumab群よりも有意に長期であり、抗体薬クロスオーバー投与もCetuximab群の治療期間が有意に長かった
(図1)。
表
図1
PFS2およびOS2は、
KRAS exon 2野生型および
RAS 野生型ともに、Cetuximab群がBevacizumab群よりも有意に延長していた
(図2)。
図2
KRAS exon 2野生型のOS2の検討では、抗体薬のクロスオーバーを行った症例は、行わなかった症例と比べてOS2が不良であり、Bevacizumab群では有意差を認めた (p=0.012)。同様に、2nd-lineでL-OHPを使用した症例は、使用しなかった症例と比べてOS2が不良であり、Cetuximab群では有意差を認めた (p=0.002)
(図3)。
図3
本解析により、1st-lineで至適なレジメンを選ぶことが、2nd-line、3rd-lineレジメンの選択以上に、治療結果への影響が顕著に大きいことが明らかとなった。これらのデータにより、1st-lineにおいてCetuximabを投与した後にVEGF阻害薬を投与する治療戦略は、VEGF阻害薬投与後にCetuximabを投与するよりも有効性が高いことが示唆される。