免疫チェックポイント阻害剤の話題

Nivolumab以外の免疫チェックポイント阻害剤について

設樂先生

室:Nivolumab以外の免疫チェックポイント阻害剤についても伺いたいと思います。現在、胃癌では抗PD-1抗体薬のNivolumabやPembrolizumab、抗PD-L1抗体薬のAvelumabに関する第III相試験が進行中ですが、この3剤の有効性や安全性に違いはあると思われますか。

設樂:Avelumabの海外臨床試験では胃癌に対する奏効率は10%未満でしたが、この値は他の癌種における抗PD-1抗体薬の奏効率と同程度でした。副作用の発現状況も抗PD-1抗体薬と同程度だと感じています。

仁科:Avelumabでも有効な症例が報告されており、また、抗PD-1抗体薬と比べて安全性にも差があるようには感じません。メラノーマでは1年以上効果が持続する患者さんも多いのですが、Nivolumab、Avelumabに関わらず胃癌に対しての免疫チェックポイント阻害剤の効果は、1年以上の長期には持続しにくい印象があります。

室:免疫チェックポイント阻害剤による胃癌の長期生存率は、メラノーマ、肺癌、頭頸部癌などと比べて低いのかもしれません。効果が認められないケースを選択できるようなネガティブバイオマーカーをはじめとする要因を調べることは胃癌では特に大切だと思います。

沖:Avelumabは、NivolumabやPembrolizumabと作用機序が異なるので何かしらの違いが認められるかもしれないと思っています。一方、NivolumabとPembrolizumabについては、作用機序は同様ですが、2剤の差は個別に行われた臨床試験の間接比較から推測するしかありませんので、現時点では違いがあるかどうかわかりません。

室:私もそう思います。続いて、免疫チェックポイント阻害剤の併用療法について伺います。現在、NivolumabとIpilimumabの第I/II相試験が進行中です。これ以外の免疫チェックポイント阻害剤同士の併用、あるいは化学療法や放射線療法との併用療法が検討されています。胃癌では免疫チェックポイント阻害剤を軸とした併用療法の有効性は期待できそうでしょうか。

設樂:免疫チェックポイント阻害剤同士の併用療法は様々な癌種で開発が進んでおり、特に有効性が高いと考えられるのは腫瘍組織浸潤リンパ球(TIL)やPD-1以外の免疫チェックポイント分子の発現量が多い癌種かと想像されます。胃癌の場合は免疫チェックポイント阻害剤同士の併用の他にも、分子標的薬や放射線療法との併用療法の検討が必要になるかもしれません。

室:免疫機能の抑制解除を目指すだけでなく、免疫を惹起させるためにその他の治療法を併用した方がよいということですね。

設樂:そうです。実際の患者さんの体内において、化学療法が免疫系にどのように作用するのか未知な部分が多いと思いますので、化学療法との併用でどれほど相乗効果があるかについては現在進行中の臨床試験の結果を待ちたいと思います。一部の胃癌においてはTILが少ないため、有効性を上げるためには別の治療でTILを増加させる必要があるかもしれません。

室:HER2陽性例に対する免疫チェックポイント阻害剤の効果はいかがでしょうか。

沖:現在得られているデータだけではなんとも言えないので、臨床試験でバイオマーカーなどを解析する必要があると思います。

設樂:PD-L1の発現に加えて、次世代シーケンシングでmutation burdenを算出するなど、様々な観点でバイオマーカーを検討することが望ましいと思います。また、マイクロサテライト不安定性(MSI)例での効果が高いことは胃癌を含めて確認されています。

室:胃癌では治療経過中にHER2の発現状況に変化が生じることはありますが、MSIは変化しないはずですから、有用なバイオマーカーの1つになるかもしれませんね。

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