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切除不能進行・再発大腸癌患者における抗EGFR抗体薬の効果とBevacizumab-free intervalとの関連
The Association of Bevacizumab-free Interval with Efficacy of Anti-EGFR Therapy in Patients with Metastatic Colorectal Cancer
Azusa Komori, et al.
Bevacizumabと抗EGFR抗体薬の投与順がOSに影響を及ぼす?
本発表は、KRAS 野生型でCPT-11抵抗性大腸癌に対し、CPT-11 + 抗EGFR抗体薬併用療法を行ったコホートを用いた後ろ向きの解析である。結果、抗EGFR抗体薬の投与前6ヵ月以内にBevacizumabが投与されている群は抗EGFR抗体薬の効果が劣る傾向であった。この結果は前治療期間や転移臓器個数など患者背景の違いを調整した場合でも同じであった。つまり、癌組織あるいは血液中にBevacizumabの影響が残存していると考えられるBevacizumab最終投与6ヵ月以内では、その後の抗EGFR抗体薬の効果がやや弱まるということが示唆された。
今回得られた知見は、単施設後ろ向きの検討ではあるが、FIRE-3試験、PEAK試験での両群間のOSの差の理由説明の1つとなり得るのかもしれない。
KRAS 野生型の切除不能進行・再発大腸癌に対して、抗EGFR抗体薬と抗VEGF抗体薬は有効性を示しており、CAIRO2試験およびPACCE試験により両薬剤の併用療法に拮抗作用が認められているため1, 2)、抗VEGF抗体薬であるBevacizumab (Bev) と抗EGFR抗体薬は順次使用されている。
基礎研究では、Bevによる腫瘍血管正常化が抗体取り込みを減少させ3)、腫瘍血管密度の減少はBev最終投与後6週間以内にみられること4)が報告されている。また、Bevは最終投与3ヵ月後に血清中で検出されるが (中央値6.14μg/mL)、6ヵ月後では僅かである (中央値0.23μg/mL) 5)。
そこで、Bevのwash-out期間が短い場合、Bev投与後に残存する影響がその後の抗EGFR療法に作用すると仮説を立て、Bevのwash-out期間とその後の抗EGFR抗体薬による治療効果との関連について検討した。
基礎研究では、Bevによる腫瘍血管正常化が抗体取り込みを減少させ3)、腫瘍血管密度の減少はBev最終投与後6週間以内にみられること4)が報告されている。また、Bevは最終投与3ヵ月後に血清中で検出されるが (中央値6.14μg/mL)、6ヵ月後では僅かである (中央値0.23μg/mL) 5)。
そこで、Bevのwash-out期間が短い場合、Bev投与後に残存する影響がその後の抗EGFR療法に作用すると仮説を立て、Bevのwash-out期間とその後の抗EGFR抗体薬による治療効果との関連について検討した。
本報告は、単施設の後ろ向き解析である。対象は、フッ化ピリミジン系製剤、L-OHP、CPT-11による治療済みのKRAS 野生型切除不能進行・再発大腸癌患者で、2009年9月〜2013年6月の間にCPT-11 + 抗EGFR抗体薬の併用療法を受けた症例とした。
Bev最終投与から抗EGFR抗体薬初回投与までの期間をBFI (Bev-free interval) と定義し、患者をBFI 6ヵ月以上群と6ヵ月未満群に分け、抗EGFR抗体薬による治療効果を奏効率、PFS、OSで評価した。また、OSに影響する因子をCox比例ハザードモデルで解析した。
Bev最終投与から抗EGFR抗体薬初回投与までの期間をBFI (Bev-free interval) と定義し、患者をBFI 6ヵ月以上群と6ヵ月未満群に分け、抗EGFR抗体薬による治療効果を奏効率、PFS、OSで評価した。また、OSに影響する因子をCox比例ハザードモデルで解析した。
解析対象は114例 (BFI 6ヵ月未満群74例、BFI 6ヵ月以上群40例) であり、両群の患者背景に有意差はみられなかった。
奏効率はBFI 6ヵ月未満群24.7%、BFI 6ヵ月以上群50.0%であり、BFI 6ヵ月以上群で有意に良好であった (p=0.0117) (図1)。
奏効率はBFI 6ヵ月未満群24.7%、BFI 6ヵ月以上群50.0%であり、BFI 6ヵ月以上群で有意に良好であった (p=0.0117) (図1)。
PFS中央値は、BFI 6ヵ月未満群4.2ヵ月、BFI 6ヵ月以上群6.6ヵ月であり、BFI 6ヵ月以上群で有意な延長を認めた (HR=0.65, p=0.042) (図2左)。同様に、OS中央値は、それぞれ11.6ヵ月、14.3ヵ月であり、BFI 6ヵ月以上群で有意な延長を認めた (HR=0.62, p=0.038) (図2右)。
患者背景とBFIを変数として、OSに関してCox比例ハザードモデルにより単変量解析および多変量解析を行ったところ、BFI 6ヵ月以上はOSに有意な影響を与えることが認められた (単変量解析: HR=0.62, p=0.0381、多変量解析: HR=0.56, p=0.0375)。
BFIが6ヵ月未満であることは、抗EGFR抗体薬の治療効果の妨げとなる可能性がある。
Reference
1) Tol J, et al.: N Engl J Med. 360(6): 563-572, 2009[PubMed]
2) Hecht JR, et al.: J Clin Oncol. 27(5): 672-680, 2009[PubMed]
3) Arjaans M, et al.: Cancer Res. 73(11): 3347-3355, 2013[PubMed]
4) Steeghs N, et al.: Ann Oncol. 21(5): 1100-1105, 2010[PubMed]
5) Li J, et al.: Cancer Chemother Pharmacol. 71(3): 575-580, 2013[PubMed]
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