現地座談会

抗EGFR抗体薬の新たなバイオマーカー

#3631:PEAK試験 (KRAS / NRAS )
1st-lineにおけるFOLFOX + PanitumumabとFOLFOX + Bevacizumabを比較したPEAK試験のKRAS /NRASBRAF 解析

谷口:PEAK試験は、KRAS exon 2野生型患者の1st-lineにおけるmFOLFOX6 + BevとmFOLFOX6 + Panitumumabを比較した無作為化第II相試験です5)。OSをupdateするとともに、PRIME試験と同様に、KRAS exon 3, 4、NRAS exon 2, 3, 4、BRAF exon 15変異の追加解析を行いました。

 主要評価項目のITT集団 (KRAS exon 2野生型) におけるPFSは両群間に有意差はありませんでしたが (p=0.22)、RAS 野生型では中央値がBevacizumab群10.1ヵ月、Panitumumab群13.0ヵ月とPanitumumab群で有意に良好でした (HR=0.66, p=0.03) (図14)。OSに関してはGastrointestinal Cancers Symposiumでの報告からイベント数が約10%増えており、ITT集団における解析ではBevacizumab群に対してPanitumumab群が有意に良好であり (HR=0.62, p=0.009)、RAS 野生型でもPanitumumab群が良好な傾向にありました (HR=0.63, p=0.058) (図15)。一方、RAS 野生型における奏効率は両群間に有意な差は認めませんでした。

室:今回、PRIME試験PEAK試験のupdateが報告されたことで、それぞれPanitumumab群のOSに有意差が認められました。さらにKRASNRAS のexon 3, 4と測定範囲を広げていけば、OSの差がさらに広がるという報告でした。小松先生、解説をお願いします。

小松:抗EGFR抗体薬による効果があると言われていた従来のKRAS exon 2野生型のなかでも、新しい分類であるRAS 野生型が本当に効果を示す集団だということです。恐らくNRAS 変異が無効予測因子となっているため、今後、抗EGFR抗体薬の使用に際してはNRAS 解析が必要となるでしょう。

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