現地座談会

1st-lineの維持療法とchemo holidayの意義

#3502:CAIRO3試験
CapeOx + Bevacizumabによる1st-line治療後のCapecitabine + Bevacizumabによる維持療法の有効性

室 (司会):2013年米国臨床腫瘍学会も本日をもって終えましたが、今回は大腸癌や膵癌などで、非常にimpressiveな発表がありました。例年通り、レポーターの先生方に各演題の概要を紹介いただいた後、監修の先生のコメントをいただき、ディスカッションしていきます。

 まず、大腸癌領域では維持療法に関して2つの大きな発表がありました。そのうちの1つ、CAIRO3試験から始めたいと思います。中島先生、お願いします。

中島:大腸癌の1st-line治療においてCapeOx + Bevacizumab (Bev) を 6サイクル施行し、SD以上と評価された患者を対象に、経過観察とCapecitabine (625mg 1日2回連日内服) + Bev (7.5mg/kg iv q3w) を投与する維持療法とを比較した試験です。なお、初回PD後はCapeOx + Bevを再開する設計になっていますが、実際に再導入された症例は経過観察群76%、維持療法群47%でした。

 主要評価項目のPFS2 (無作為化から2回目の増悪までの期間)中央値は経過観察群10.5ヵ月、維持療法群11.8ヵ月と維持療法群で有意に良好であり (HR=0.81, p=0.028) (図1)、副次評価項目のPFS 1 (無作為化から初回増悪までの期間) も維持療法群が有意に良好でした (HR=0.44, p<0.00001)。一方、OSには有意差は認めませんでした (HR=0.87, p=0.156) (図2)

室:この内容を受けて、佐藤温先生から解説をお願いします。

佐藤 (温):今回の米国臨床腫瘍学会では、1st-line後の治療戦略として「intermittentかcontinuousか」が1つの論点でした。本試験では、1st-lineレジメンの中でL-OHPのみ休薬したCapecitabine + Bevの維持療法 (intermittent with maintenance) と経過観察 (chemo holiday) を比較しており、continuousについては検証されていません。Chemo holidayはOPTIMOX2で否定されていますが、実臨床では有効なケースもあるので興味が持たれています。結果は維持療法が有意に良好でしたが、PFS2は10.5ヵ月 vs. 11.8ヵ月と差が小さく、OSはimmatureながら有意差がないことから、chemo holidayは必ずしも否定されるものではないのかもしれません。

 とはいえ、PFS1は経過観察群と比べて4.4ヵ月も延長しており、維持療法自体は有効という感触を持ちました。ただし、grade 3以上の手足症候群が22%、神経障害も10%に認められること、治療再開になかなか結びつかない現状もあることから、維持療法の治療内容を考える必要があると思います。

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