対象は、Sorafenibによる治療歴があり、Child-Pugh分類A、EGOG PS 0/1で、BCLC stage Cもしくはstage Bのうち局所治療の施行不能/無効な病変を有する肝細胞癌患者であり、RAM (8mg/kg, 2週毎) + BSC (best supportive care) を行う群 (RAM群) とプラセボ + BSCを行う群 (プラセボ群) に1:1で無作為に割り付けた
(図1)。主要評価項目はOS、副次評価項目はPFS、TTP (time to progression)、奏効率、安全性、PRO (patient-reported outcome) であった。OS中央値がプラセボ群8ヵ月、RAM群10.67ヵ月 (HR=0.75) と仮定し、検出力85%、両側α=0.05で、必要症例数は544例であった。
図1
565例が対象となり、RAM群283例、プラセボ群282例に無作為に割り付けられた。ベースライン時の患者背景は両群で同様であり、相対用量強度はRAM群98.5%、プラセボ群99.0%といずれも良好であった。
OS中央値はRAM群9.2ヵ月、プラセボ群7.6ヵ月であり、有意差は認めなかった (HR=0.866, 95% CI: 0.717-1.046, p=0.1391)
(図2)。なお、ベースライン時のAFPが400ng/mL以上であった症例 (250例) におけるOS中央値はRAM群7.8ヵ月、プラセボ群4.2ヵ月とRAM群で有意な延長を認めたが (HR=0.674, 95% CI: 0.508-0.895, p=0.0059)、AFPが400ng/mL未満の症例では両群間に差はみられなかった (HR=1.093, 95% CI: 0.836-1.428, p=0.5059)。
図2
PFS中央値はRAM群2.8ヵ月、プラセボ群2.1ヵ月とRAM群で有意な延長を認め (HR=0.625, 95% CI: 0.522-0.750, p<0.0001)
(図3)、サブグループ解析においてもECOG PS 1を除くすべてのサブグループにおいて有意な改善を認めた。また、TTP (中央値3.5 vs. 2.6ヵ月, HR=0.593, 95% CI: 0.487-0.722, p<0.0001)、奏効率 (7.1 vs. 0.7%, p<0.0001) のいずれもRAM群で有意に良好であった。
図3
Grade 3以上の有害事象としては、高血圧、腹水、血小板減少、肝性脳症、好中球減少がRAM群で高い傾向にあった。また、特に注目すべき有害事象として、肝障害/肝不全、鼻出血、高血圧、蛋白尿、infusion-related reactionがRAM群で有意に多く認められた
(表)。
表
本試験では主要評価項目のOSにおいて有意な改善を示すことができなかった。一方、RAM群ではPFS、TTP、奏効率を含む副次評価項目で臨床的に意義のある改善が認められ、忍容性が高く良好な安全性プロファイルを示した。また、ベースライン時におけるAFP高値は、RAMによるベネフィットを享受できる患者選択の指標となる可能性がある。肝細胞癌に対する2nd-lineは治療法が確立していないため、RAMについてさらなる検討が必要であると考えられる。
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