Oxaliplatin導入後の影響

進行胃癌治療でのFOLFOXの位置づけについて

室:進行胃癌治療でのFOLFOXの位置づけについて、仁科先生よりご説明いただきます。

仁科:FOLFOXの有効性と安全性については、標準治療が適する、あるいは適さない症例を対象とした研究結果が多く報告されており、第III相試験は少ないものの、進行期における有用性を評価する声は多いと思います。日本では、進行胃癌に対するFOLFOXは、Oxaliplatinの用量が適応外使用にあたるため、保険が使えないという問題がありました。しかし、学会などの働きかけにより、学術上の根拠と薬理作用を根拠に、厚生省(当時)の「昭和55年通知」が適用されることになり、FOLFOXは適応外使用ではありますが、2017年2月から保険診療が可能となりました。このような状況の下、先生方は進行胃癌治療におけるFOLFOXの位置づけはどうなっていくとお考えですか。

沖先生

沖:経口摂取不能、つまりSOXを施行できない患者さんに導入することになると思います。

佐藤:同感です。あとは腎機能低下例にも有用だと思います。ただし、FOLFOXを施行するためにはポートを造設する必要がありますから、その体制に慣れていない状況では浸透しにくいかもしれません。しかし、胃癌は増悪するほど経口摂取が難しくなるので、FOLFOXは今後、浸透させていきたいレジメンです。

設樂:当院では1st-lineでFOLFOXを施行した症例は全体の約10%で、やはり経口摂取不能な患者さんでした。FOLFOXは腎機能低下例に使用しやすいですが、高度の腎機能低下例には5-FUやPaclitaxelを含んだ治療を用いることが多いです。

室:胃癌にFOLFOXが使用できるようになったことが十分には周知されていないのが実状であり、今後の啓発が課題です。次回のガイドラインの改訂ではFOLFOXが推奨レジメンの1つとなる可能性も高く、そうなれば状況は変わってくるでしょう。

消化器癌治療の広場へ戻る
MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc
▲ このページのトップへ
Copyright c MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc. All Rights Reserved