消化器癌治療の広場

第13回座談会 Pros and Consシリーズ BBP (Bevacizumab beyond progression) は是か非か 2010年11月22日 新横浜プリンスホテルにて

Discussion

Point 3:横行結腸について

大村:それでは、海外の大規模臨床試験では対象外とされていることが多い、横行結腸に移りたいと思います。

OC-4:横行結腸は右側、中央部、左側で少しずつ違います。右側の横行結腸は上行結腸と同じ感覚でいいと思いますが、中央部と左側は中結腸の血管の根部まで腹腔鏡下手術で確実に覆うことができる施設は限られています。不安がある場合は、積極的に開腹手術を選択することが大切です。

大村:開腹する場合は小切開ではなく、しっかり開けるということも必要ですね。

OC-4:開腹創を中途半端に小さくすると、中枢側血管処理先行法(no-touch isolation technique)の原則が崩れてしまいます。小さい傷で無理やり手術しようとすると、どうしても腫瘍を圧迫してしまいます。

LAC-2:横行結腸は支配血管を見つけることが問題になると思いますが、中央部であろうが、左側であろうが、体位を工夫すると、腹腔鏡下手術で観察し、操作するほうが楽な場合が多いです。熟達すれば、横行結腸の腹腔鏡下手術が難しいということは言えないと思います。

OC-3:開腹手術のメリットは、いろいろな方向から見るのが楽だということです。腹腔鏡下手術の場合は、見慣れない方向から見ると怖くて触れないということがありますが、開腹手術の場合は、わからなくても見えるようにできることが利点だと思います。

大村先生

大村:慣れていない手術でも対応しやすいのは、開腹手術だということですね。腹腔鏡下手術派としてはいかがですか。

LAC-1:横行結腸の腹腔鏡下手術も慣れればどこの施設でもできると思いますし、拡大視効果でわかりやすいということもあります。通常の大腸であれば腸間膜だけを見ることで平面的にとらえることができますが、横行結腸は他臓器への血管などもあるため立体的にとらえる必要があり、それが難しさを感じる要因のひとつでしょう。しかし、それも慣れで解決すると思います。

大村:慣れないと展開しにくいし、脂肪が多いとわかりにくいというところがありますね。

OC-4:開腹手術も昔は尾側からが中心でしたが、網嚢を開けて頭側からの視野を加えて判断することでオリエンテーションをつけやすくなっています。そして解剖がわかってくれば、腹腔鏡下手術でも頭側から施行することで理解ができると思います。

大村:腹腔鏡下手術が開腹手術の質を上げたわけですね。

OC-4:腹腔鏡による視野を経験したことで開腹手術のレベルも上がっていますし、それをもう一度開腹手術で考え直すと、腹腔鏡下手術もレベルアップします。2種類の視野から見ていくことが、結果的に大腸癌の手術レベル全体を引き上げていると思います。

次へ 前へ 目次
▲ このページのトップへ
MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc
Copyright © MEDICAL SCIENCE PUBLICATIONS, Inc. All Rights Reserved