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切除不能進行・再発大腸癌に対する1st-lineとしての FOLFOX + Bevacizumabによる腫瘍縮小と、Bevacizumab beyond progression (BBP)戦略における2nd-lineの治療効果および生存予測:CCOG-0801試験の後ろ向き解析
Response to the First-line FOLFOX plus Bevacizumab (BEV) Therapy Predicts Responses to the Subsequent Therapies and Survival in the BEV beyond Progression (BBP) Strategy for Metastatic Colorectal Cancer: A Retrospective Analysis of CCOG-0801 Study
Goro Nakayama, et al.

実臨床におけるETSの可能性−BBPにおける2nd-lineの効果予測

本報告は、1st-lineにFOLFOX + Bevacizumab、2nd-lineにFOLFIRI + Bevacizumabを行った臨床第II相試験の症例を対象にしたETSに関する解析である。1st-lineのFOLFOX + Bevacizumab療法におけるETSが、1st-lineの効果だけでなく2nd-lineの効果も予測できるという結果であった。通常は治療開始6〜8週間後の1回目の評価での腫瘍縮小をETSと定義することが多いため、本報告で治療開始12週後の評価もETSと定義していることは既存の報告と異なる点に留意する必要はあるが、本発表からBevacizumab併用療法における実地臨床でのETSの使い方が垣間見えた発表である。1st-lineのFOLFOX + BevacizumabにおいてETSが認められなかった症例では、2nd-lineのFOLFIRI + Bevacizumabの治療成績が極めて不良であった。このような症例に2nd-line以降どう治療を組み立てていくべきか、今後の検討課題である。
切除不能進行・再発大腸癌に対するBevacizumab (BEV) 投与後の増悪例に対するBEV継続投与 (BBP: BEV beyond progression) のOSベネフィットは、大規模無作為化第III相試験で認められている。また、早期腫瘍縮小 (ETS) の評価により、特に抗EGFR抗体薬による治療の予後が予測できることが報告されているが、BEVによる治療とETSとの関連性については明確にされていない。
そこで、切除不能進行・再発大腸癌に対する1st-line におけるBEV併用療法のETSと、2nd-lineにおけるBEV併用療法の有効性、およびBBP戦略におけるOSとの関連性について検討された。
そこで、切除不能進行・再発大腸癌に対する1st-line におけるBEV併用療法のETSと、2nd-lineにおけるBEV併用療法の有効性、およびBBP戦略におけるOSとの関連性について検討された。
切除不能進行・再発大腸癌に対するBBP戦略として、1st-lineにおけるmFOLFOX6 + BEV後の2nd-lineとしてのFOLFIRI + BEVについて評価したCCOG (Chubu Clinical Oncology Group) による第II相試験、CCOG‐0801試験に登録された症例が対象であり、1st-lineは47例、2nd-lineは31例に施行された。
1st-lineでは、BEV併用療法後、8週および12週時におけるETS (RECIST判定) の評価を行った。そして、12週時の腫瘍縮小率に基づいて、Responder群 (奏効例: ETS≧20%)、Sub-responder群 (病勢コントロール例: 20%>ETS>-10%)、Non-responder群 (病勢進行例: ETS≦-10%) の3群に分けられ、2nd-lineの奏効率、PFS、および1st-lineからのOSについて解析された。
1st-lineでは、BEV併用療法後、8週および12週時におけるETS (RECIST判定) の評価を行った。そして、12週時の腫瘍縮小率に基づいて、Responder群 (奏効例: ETS≧20%)、Sub-responder群 (病勢コントロール例: 20%>ETS>-10%)、Non-responder群 (病勢進行例: ETS≦-10%) の3群に分けられ、2nd-lineの奏効率、PFS、および1st-lineからのOSについて解析された。
1st-lineにおけるmFOLFOX6 + BEVによる腫瘍縮小率中央値は、8週時23%、12週時28%であり、ETS≧20%の達成率はそれぞれ51%、62%であった。
2nd-lineにおけるFOLFIRI + BEVの奏効率は23%、病勢コントロール率は65%であった。なお、Responder群は奏効率37%、病勢コントロール率79%、Sub-responder群はそれぞれ13%、63%、Non-responder群はともに0%であり、Sub-responder群の1例を除き、2nd-lineにおける新たな奏効例は認められなかった (図1)。
2nd-lineにおけるFOLFIRI + BEVの奏効率は23%、病勢コントロール率は65%であった。なお、Responder群は奏効率37%、病勢コントロール率79%、Sub-responder群はそれぞれ13%、63%、Non-responder群はともに0%であり、Sub-responder群の1例を除き、2nd-lineにおける新たな奏効例は認められなかった (図1)。

2nd-lineにおけるPFS中央値はResponder群8.8ヵ月、Sub-responder群6.0ヵ月、Non-responder群1.4ヵ月であった (図2)。なお、1st-lineでの奏効 (Responder群) は、2nd-lineにおけるPFS延長の有意な予測因子であった。

OS中央値は、Responder群30.8ヵ月、Sub-responder群24.7ヵ月、Non-responder群11.1ヵ月であった (図3)。OSにおいてはSub-responder群はResponder群と同等のベネフィットが得られた。また、早期病勢コントロールの達成 (Responder群 + Sub-responder群) は、BBP戦略におけるOS延長の有意な予測因子であった。

2nd-lineにおける新たな奏効例はSub-responder群の1例のみであり、Non-responder群ではBEVの継続投与の効果は認められなかった。1st-lineにおけるBEV併用療法のETSは、切除不能進行・再発大腸癌に対するBBP戦略における2nd-lineでの有効性およびOSの予測因子となる可能性がある。