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Abstract #624
Irinotecanベースの2nd-line治療を受けた切除不能進行・再発大腸癌患者における予後分類のvalidation study
Validation study of a prognostic classification system in patients with metastatic colorectal cancer who received irinotecan-based second-line chemotherapy
Kentaro Yamazaki, et al.
これまでにない2nd-lineの予後指数
愛知県がんセンターにおいてCPT-11ベースの2nd-line治療を受けた切除不能進行・再発大腸癌患者124例を対象としたコホート研究より、「ECOG PS 2、低分化型腺癌、腹膜転移、1st-line治療のPFS 6ヵ月未満、LDH 400 IU/L以上」という5つの予後不良因子が同定された1,2)。患者をこれらの予後因子の数により、低リスク (予後不良因子なし)、中リスク (1個)、高リスク (2個以上) の3群に分類し比較した結果、OSに有意差が認められた。今回、異なる患者集団における本予後分類のvalidation studyの結果を報告する。
◆対象
ECOG PS0-2で十分な骨髄・肝・腎機能が保たれており、1st-line治療でOxaliplatinベース、2nd-line治療でCPT-11ベースの治療を受けた切除不能進行・再発大腸癌患者。抗EGFR抗体薬については未投与で、2nd-line治療でも投与されていない患者とした。
◆方法
2005年10月〜2009年12月の間に3施設 (静岡がんセンター、虎の門病院、北海道大学病院) で治療された198例をvalidationコホートとして検証した。OSおよびPFSは2nd-line治療開始時からの評価とした。予後因子の評価には単変量および多変量cox比例ハザードモデルを用いた。また、予後因子の数によって3群に分類し、OSならびにPFSを比較した。
ECOG PS0-2で十分な骨髄・肝・腎機能が保たれており、1st-line治療でOxaliplatinベース、2nd-line治療でCPT-11ベースの治療を受けた切除不能進行・再発大腸癌患者。抗EGFR抗体薬については未投与で、2nd-line治療でも投与されていない患者とした。
◆方法
2005年10月〜2009年12月の間に3施設 (静岡がんセンター、虎の門病院、北海道大学病院) で治療された198例をvalidationコホートとして検証した。OSおよびPFSは2nd-line治療開始時からの評価とした。予後因子の評価には単変量および多変量cox比例ハザードモデルを用いた。また、予後因子の数によって3群に分類し、OSならびにPFSを比較した。
Validationコホートと予後因子探索コホート (generating cohort) 1,2) の患者背景は、それぞれ年齢63歳/63歳、男性57%/60%、PS0-1 95%/90%であった。両群のOSおよびPFS中央値に有意な差はみられなかった (OS: 12.1ヵ月 vs. 14.6ヵ月, p=0.47; PFS: 5.0ヵ月 vs. 3.8ヵ月, p=0.08)。
5つの予後不良因子のうち、「低分化型腺癌」「LDH 400 IU/L以上」「1st-line治療のPFS 6ヵ月未満」の3つがvalidationコホートにおける有意な予後因子であった (表1)。一方、「PS 2」「腹膜転移」については、傾向はみられたものの有意差は得られなかった。
5つの予後不良因子のうち、「低分化型腺癌」「LDH 400 IU/L以上」「1st-line治療のPFS 6ヵ月未満」の3つがvalidationコホートにおける有意な予後因子であった (表1)。一方、「PS 2」「腹膜転移」については、傾向はみられたものの有意差は得られなかった。
Validationコホートの3つの予後グループの内訳は、低リスク群35% (68例)、 中リスク群41% (80例)、高リスク群23% (45例) であり、探索コホートに比べ、中リスク群と高リスク群の割合が多かった。各群のOS中央値はそれぞれ19.8ヵ月、11.0ヵ月、7.9ヵ月であり、探索コホートと同様に各群のOS中央値に有意差が認められた (図1下)。また、PFS中央値も同様の傾向がみられた (図2下)。
3rd-line以降の化学療法を受けた患者の割合は低リスク群で66%、中リスク群 で61%、高リスク群では43%であり、高リスク群で他群に比べ有意に低かった。
以上より、CPT-11ベースの2nd-line治療を受けた切除不能進行・再発大腸癌患者において、本予後分類が有用であることが示された。今後、前向き試験においてもその妥当性が確認された場合、本予後分類は臨床試験の層別因子として、また患者の治療戦略を考慮する際に有用と考えられる。