進行再発大腸癌における静注5-FUおよびcapecitabineの有効性 (MRC COIN試験の結果より)
Oxaliplatin and fluoropyrimidine chemotherapy plus or minus cetuximab: The effect of infusional 5-FU or capecitabine on the outcomes of the MRC COIN trial in advanced colorectal cancer (ACRC).
Timothy S. Maughan, et al.
|
||||
MRC COIN試験は、進行再発大腸癌における1st-line治療としてのoxaliplatin (L-OHP) + フッ化ピリミジン系薬剤 (capecitabineまたは5-FU/LV) 療法に対するcetuximabの上乗せ効果を比較・検討した無作為化比較試験である。 |
||||
2005年3月から2008年5月までに、イギリスおよびアイルランドの110施設から患者が登録された。主な適格基準は、1)腫瘍が測定可能であり、手術が不可能な進行大腸癌である、2)化学療法の治療歴がない、3)WHO Performance Status (PS) が0-2である、4)臓器機能が良好などである。これらの登録患者を1:1:1の割合で下記の3群に無作為に割り付けた。
5-FU/LV(mFOLFOX)群: L-OHP+5-FU/LV、2週毎
Capecitabine(XELOX)群: L-OHP+capecitabine、3週毎
A群にcetuximabを追加投与
A群の治療を12週間行った後、経過観察する。病勢進行が認められたら治療を再開し、さらに12週間投与を行う。 フッ化ピリミジン系薬剤のcapecitabineおよび5-FU/LVは、無作為化前に主治医と患者により選択された。一次エンドポイントは、KRAS 野生型におけるoverall survival (OS) である。 |
||||
対象症例1,630例 (A群およびB群) のうち、PS 0-1は92%、有原発巣症例は41% (肝転移のみは23%) であり、XELOX療法を受けた患者はA群、B群ともに66%であった。腫瘍の遺伝子変異の評価が可能であった1,316例 (81%) のうち、KRAS 野生型は729例 (遺伝子変異評価症例の55%) であった。また、NRAS、BRAF についても評価を行い、KRAS、NRAS、BRAF がすべて野生型であったのは581例 (同44%) であった。 |
||||
XELOXまたはmFOLFOX療法にcetuximabを上乗せしても、OSおよびPFSの有意な延長効果は認められなかった。ただし、1)腫瘍のKRAS、NRAS、BRAF がいずれも野生型である、2)5-FU/LVとの併用、3)転移巣が1つ以下の場合には、cetuximabの上乗せ効果が認められる可能性があると考えられた。 |