Abstract #709PD |
Five-year results of the randomized phase III trial comparing S-1 monotherapy versus surgery alone for stage II/III gastric cancer patients after curative D2 gastrectomy (ACTS-GC study)
M. Sasako, et al.
S-1の有用性を再確認、胃癌アジュバントのグローバルスタンダードを問う |
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日本人のstage II/III胃癌の治癒切除 (D2郭清) 後のS-1術後補助化学療法は、2007年の消化器癌シンポジウムにて報告があり、その後New England Journal of Medicine (以下 NEJM) に掲載され1)、本邦における標準治療となったことは記憶に新しい。今回は5年の追跡調査結果が報告された。 |
ACTS-GC試験の中間解析より、D2リンパ節郭清を伴う胃治癒切除後の胃癌患者に対する術後補助化学療法としてのS-1投与が3年OSを有意に改善したことが示された1)。今回は本試験の5年追跡結果を報告する。
対象は、日本の標準術式であるD2リンパ節郭清を伴う胃治癒切除が施行されたstage II/III*の胃癌患者とし、S-1投与群と手術単独群に無作為に割り付けた。S-1投与群は、S-1 (80〜120 mg/day/p.o.) 4週投与、2週休薬を1コースとし、12ヵ月間実施した。 一次エンドポイントはoverall survival (OS)、二次エンドポイントはrelapse-free survival (RFS: 無再発生存期間)、S-1の安全性とした。
*Stage分類は胃癌取扱い規約 第13版 (1999年) による |
2001年10月〜2004年12月までに1,059例が登録され、S-1投与群: 529例、手術単独群: 530例に無作為に割り付けられた。評価可能症例数はS-1 投与群: 515例、手術単独群: 519例であった。両群間の背景に差はみられなかった。Stage別の内訳は、stage II: 474例、IIIA: 409例、IIIB: 175例であり、S-1投与期間12ヵ月の治療コンプライアンスは65.8%であった。
5年以上追跡可能であった症例は943例 (89%)、 追跡期間中央値は5.46年であった。
5年OSは、S-1投与群71.7%、手術単独群61.1%であった (HR=0.669)。5年RFSは、S-1投与群で65.4%、手術単独群では53.1%であった (HR=0.653)。
OSのサブグループ解析では、年齢別のHRは60歳未満: 0.550、60〜69歳: 0.678、70〜80歳: 0.779であった。また、stage別のHRは、stage II: 0.509、IIIA: 0.708、IIIB: 0.791であった。
以上より、stage II/III胃癌患者におけるD2リンパ節郭清を伴う胃治癒切除後の術後補助化学療法としてのS-1投与は、優れた有効性と忍容性を有しており、標準治療となり得ることが再確認された。