演題速報レポート American Society of Clinical Oncology 48th Annual Meeting 2012 June 1st-5th at CHICAGO,ILLINOIS

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現地座談会

その他の消化器癌に関する注目演題

GISTに関する注目演題

#LBA10008

Imatinib / Sunitinib不応の切除不能GISTに対するBSC±Regorafenibの第III相試験
――3rd-lineの標準治療として有望な結果

室:最後はGISTのGRID試験です。山﨑先生、概要をお願いします。

山﨑:Imatinib、Sunitinibの両方に不応となったGIST患者に対して、BSC+RegorafenibとBSC+プラセボを比較した試験です。PDと判定された場合は二重盲検を解除し、プラセボ群にはRegorafenibの投与を、Regorafenib群には投与継続を提示するクロスオーバーデザインになっています。その結果、主要評価項目のPFSはRegorafenib群で4.8ヵ月、プラセボ群では0.9ヵ月と大差がつきました (HR=0.27, p<0.0001)[図17]。サブグループ解析でも、ほぼすべての項目でRegorafenib群が有意に良好でした[表6]。有害事象はRegorafenib群で手足症候群、高血圧、下痢が多く発現しましたが、治療中止に至る症例は少なく、Regorafenib群で6.1%、プラセボ群でも7.6%でした。

室:監修の小松先生、コメントをお願いします。

小松:本試験ではRegorafenibがよく効き、早期の試験終了となりました。ほかの抗癌剤も放射線療法もまったく効かないGISTです。私は、目の前で患者さんが次々に亡くなる状況で、Regorafenibを服用した患者さんだけが長く生存されているのを経験しています。非常に切れのよい薬で、毒性の管理さえできればSunitinibよりも使いやすい可能性があります。また、ImatinibがKIT遺伝子exon 11変異によく効き、Sunitinibはexon 9変異に効くわけですが、Regorafenibはいずれの変異にも有効でしたから、3rd-lineはもちろん、今後は2nd-lineでも非常によい薬になっていくのではないかと思います。

室:Regorafenibは大腸癌のサルベージラインでも効果を示しましたが13)、GISTではそれを大きく上回る有意差をもって効果を示したということでした。議論は尽きませんが、この辺りで2012年 米国臨床腫瘍学会年次集会の現地座談会を終わりにしたいと思います。大村先生、最後に一言お願いします。

大村:非常に実のある、いいディスカッションだったと思います。この米国臨床腫瘍学会年次集会レポートは2001年のサンフランシスコで始まり、今回で12回目となりました。こうして若い先生方が力を付けていき、このレポートを続けていってくださるのだろうと頼もしく思っています。昨年の今ごろ、毎晩夜中まで熱意をもってレポートをしてくださった瀧内先生がこの場にいらっしゃらないことは非常に残念ですが、皆さんの頑張りを喜んでくださっているだろうと信じてやみません。

室:本日は長時間お付き合いいただき、ありがとうございました。

Lessons from #LBA10008

  • RegorafenibはImatinibおよびSunitinibに不応となった切除不能GIST患者のPFSを大幅に延長した (HR=0.27, p<0.0001)。
  • 有害事象は予想される範囲内であった。
  • RegorafenibはImatinib/Sunitinib不応の切除不能GISTに対する新しい標準治療となり得る薬であり、今後のさらなる展開が期待される。
集合写真
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