Abstract #3573
KRAS野生型切除不能大腸癌の既治療例に対するPanitumumab + Irinotecan併用療法の第II相試験 (GERCOR 試験)
Phase II study of panitumumab with irinotecan for patients with KRAS wild-type metastatic colorectal cancer (MCRC) refractory to standard chemotherapy: A GERCOR study.
Benoist Chibaudel, et al.
(写真は共同研究者のThierry Andrè氏)
(写真は共同研究者のThierry Andrè氏)
KRAS野生型切除不能大腸癌の既治療例に対する3rd-line治療としてのPanitumumab単剤療法は、BSC (best supportive care) に比べ、response rateは17%高く、PFS(progression-free survival)は延長 (2.8ヵ月) を認めた1)。本試験 (NCT00655499) は同じポピュレーションである3rd-lineにおけるPanitumumabへのIrinotecan (CPT-11) の併用効果を評価することを目的とした。
KRAS野生型切除不能大腸癌の既治療例に対するPanitumumab + CPT-11併用療法のオープンラベル単アームの多施設共同第II相試験である。
おもな適格基準は、標準治療 (FOLFOXまたはXELOX ± Bevacizumab、および、CPT-11単剤またはFOLFIRIまたはCAPIRI ± Bevacizumab) が不応、PS 0-2, 年齢18-80歳、抗EGFR抗体薬での未治療例である。
KRAS 測定は、各施設にてダイレクトシークエンス法で測定し、野生型と診断された症例はセントラルラボにて再度QPCR法にて確認した。
Panitumumab + CPT-11併用療法は、Panitumumab (6mg/kg) + CPT-11 (180mg/m2) を2週間毎に投与した。
主要評価項目はORR (objective response rate) とし、サンプルサイズは期待奏効率を30%として68例と算出した。
KRAS 測定は、各施設にてダイレクトシークエンス法で測定し、野生型と診断された症例はセントラルラボにて再度QPCR法にて確認した。
Panitumumab + CPT-11併用療法は、Panitumumab (6mg/kg) + CPT-11 (180mg/m2) を2週間毎に投与した。
主要評価項目はORR (objective response rate) とし、サンプルサイズは期待奏効率を30%として68例と算出した。
各施設でKRAS野生型と診断された69例 (うち4例が除外) が登録された。
65例のうち、セントラルラボでのQPCR法によるKRAS 測定にて4例が変異型 (G12D: 2例、G12C: 1例、 G12V: 1例) と診断され、残りの61例での解析を行った。
最良治療効果はCR 3例 (4.9%)、PR 17例 (27.9%) であり、ORRは32.8%であった。追跡期間中央値16.8ヵ月におけるPFS中央値は6.0ヵ月、OS (overall survival) 中央値は14.5ヵ月であった。
KRAS 野生型切除不能大腸癌の既治療例に対する3rd-line治療として、Panitumumab + CPT-11併用療法はPanitumuab単剤療法より有用な治療法であることが示唆された。
1st-lineのPRIME試験 (FOLFOX ± Panitumumab)、2nd-lineの20050181試験 (FOLFIRI ± Panitumumab)、3rd-lineの20020408試験 (BSC vs. Panitumumab) の結果を受けて、本邦においてすべてのラインでPanitumumabが使用可能となった。しかしながら、PanitumumabにはCPT-11でのfailure後に再度CPT-11にPanitumumabを併用投与した場合、つまりCetuximabのBOND試験2)に相当する試験結果がなく、本邦においては大阪消化管がん化学療法研究会 (OGSG) や国立がん研究センターで、今回のGERCOR試験と同様の試験が進行中であった。今回報告されたデータからは、3rd-lineにも関わらず2nd-lineにおける20050181試験に匹敵するORR、PFS中央値、OS中央値が得られ、Cetuximabと同様にCPT-11でのfailure後に再度CPT-11をPanitumumabと併用投与することの妥当性が示唆された。今後、本邦で行われている試験結果により、GERCOR試験の結果の再現性が確かめられることを期待する。また、分子標的治療薬のプラットフォームとなるレジメンは、Cetuximabとの相性が悪かったXELOXを除き、すべてが2週間隔で投与されている。Panitumumabの利点のひとつとして、CPT-11単剤も含めたプラットフォームレジメンにスケジュールがうまくフィットすることがあげられる。3rd-lineにおけるPanitumumab単剤療法と比べた場合、Panitumumab + CPT-11併用療法が利便性の側面のみならず、治療効果の側面においても優れており、今後幅広く普及すると思われる。
(レポート:松阪 諭 監修・コメント:瀧内 比呂也)
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