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寄せる期待

大村 健二先生 山中温泉医療センター センター長
大村 健二先生
 今年も2010年 米国臨床腫瘍学会年次集会の会場となるMcCormick Placeからライブに限りなく近い迅速さを目指して、寺島先生、佐藤先生とともに注目演題のレポートを日本にお届けします。NCCNガイドラインが短い間に改訂されることからも、消化器癌に対する化学療法の進歩の速さがわかります。大腸癌のKRAS statusや胃癌におけるHER2の発現の程度は、これらの癌種に対する化学療法の個別化を現実のものにしました。2010年 米国臨床腫瘍学会年次集会では、実地臨床に導入可能な消化器癌化学療法の個別化に関する新たなエビデンスが報告されるでしょう。
 また、進行・再発癌に対する化学療法と補助化学療法とでは、やや異なった考え方をするべきであると考えられます。抗癌剤に、静細胞効果より殺細胞効果を期待するのはどちらの化学療法であるのか。さらに、術後補助化学療法における抗癌剤の至適投与期間はどの程度であるのか。結論が出るのはまだ先であっても、何らかの方向性が示されるのではないでしょうか。「GI cancer-net 消化器癌治療の広場」からお届けする2010年 米国臨床腫瘍学会年次集会レポートにご期待ください。
寺島 雅典先生 静岡県立静岡がんセンター 胃外科 部長
寺島 雅典先生
 今年も米国臨床腫瘍学会年次集会の季節が巡ってまいりました。昨年は新型インフルエンザが猛威をふるっていたため、残念ながら出席できませんでしたので、今年に寄せる期待は大きなものがあります。しかし、大きな期待とは裏腹に、少なくともこと消化器領域に関しては、ここ数年大きな注目に値するような新しい薬や治療法の開発は報告されておらず、一つのプラトーの状態に達している感が否めません。とはいえ、さまざまな分子標的治療薬が百花繚乱の如く登場しておりますし、その効果を予測するバイオマーカーの探索ももの凄い勢いで進歩しております。今はまさに次の世代への大きな前進を控え、エネルギーを充填している時期なのであろうかと考えることもできます。すなわち、現在得られたわずかな研究の進歩が次世代へ大きく飛躍する可能性を秘めていることと思います。今年の米国臨床腫瘍学会年次集会では、実地臨床のdecisionに影響を与えるpivotal なtrial はもちろんのこと、次世代への大きな可能性を秘めた演題も見逃さずにレポートしてみたいと思います。
佐藤 温先生 昭和大学病院 腫瘍内科 診療科長
佐藤 温先生
 皆様は覚えていらっしゃるでしょうか。昨年の春は、新型インフルエンザ騒動で日本中が大騒ぎしておりました。感染者に対する水際作戦は異常な加熱ぶりを呈しておりました。けれども、時期が立てば過剰な反応は収まり、その後理解が生まれてきました。本年は今のところ何もなく、冷静に2010年 米国臨床腫瘍学会年次集会に参加できそうです。
 分子標的治療薬の躍進から、現在はがん個別化治療に向かって急速に進んでおります。しかし、本年2月に、昨年のToGA試験の栄冠とは逆に、AVAGAST試験において「主要評価項目達成せず」という残念なトップライン結果がプレリリースされました。AVAGAST試験はbevacizumabの有用性を検証する多国籍第III相臨床試験であり、併せて臨床医の期待は計り知れないものでした。そんな大騒ぎの後は、やはり過剰な反応ばかりでなく、冷静さをもって全てを確かめたいものです。2010年 米国臨床腫瘍学会年次集会では、いち臨床医としての立場から学習させていただき、皆様にお伝えできればと思います。