Abstract #4010

Stage II/III結腸癌の高齢患者における新規補助化学療法の効果:12,500例を超えるACCENTデータベースからの知見

Impact of older age on the efficacy of newer adjuvant therapies in >12,500 patients(pts) with stage II/III colon cancer: findings from the ACCENT Database.


Jeffery A. Meyerhardt, et al.

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背景

5-FU (iv) +LV/Levamisoleの術後補助化学療法の試験において、高齢者と若年者で同様の効果が得られることが報告されている。近年、大腸癌の術後補助化学療法においては、L-OHPやCPT-11の併用療法の優越性や、経口フッ化ピリミジンの非劣性が証明されているものの、高齢者においても若年者と同等の効果が得られるか否かは不明である。そこで今回、Adjuvant Colon Cancer Clinical Trials(ACCCT)のデータベースを用いて、最近行われた6つの臨床試験における70歳以上と70歳未満の結腸癌患者の再発率、生存率について解析した。

対象と方法

結腸癌術後補助化学療法に関する6つの無作為化比較第III相試験(MOSAIC、X-ACT、PETACC-3、NSABP C-06、NSABP C-07、CALGB C89803)から、70歳未満の10,499例と70歳以上の2,170例 (17%) について、5-FU (iv) 群を対照群とし、経口フッ化ピリミジン群、L-OHP併用群、CPT-11併用群の3群において比較・検討を行った。

ACCENT  update : 6 adjuvant trials added

エンドポイントは、OS、DFS、TTRである。

結果

対象患者の約75%がStage IIIであった(70歳未満:74%、70歳以上:77%)。 新規補助化学療法の全体のOS、DFS、TTRは、対照群と比べて、70歳未満の患者で有意に改善した。L-OHP群では、70歳未満のOS、DFS、TTRの全ての項目で有意な差がみられた。CPT-11群では70歳未満のTTRで有意に改善がみられたが、70歳以上のTTRは逆に悪化していた。一方、経口フッ化ピリミジン群では、全項目で有意な差が認められなかった。

Forest Plots of Hazard Ratios

最初の6ヵ月における死亡に関しては、全ての群間で差がなかった。

結論

術後補助化学療法において、70歳以上の患者では、これまでの5-FU/LVレジメン(iv)に比べ、L-OHP、CPT-11との併用療法では優越性が認められなかった。一方、経口フッ化ピリミジンの非劣性は高齢者でも認められた。

コメント

今回の6つの臨床試験のなかで、いわゆるpositive studyはMOSAICとNSABP C-07だけであるため、他の4試験に対する解釈にはやや注意が必要である。それでもL-OHP併用レジメンでは、高齢者においてその有用性が限られているのは事実のようである。これまで転移性大腸癌の試験や5-FU/LVの術後補助化学療法の試験では、高齢者においても同様の効果が得られていたことから、術後補助化学療法において細胞毒性の強い薬剤を使用する場合に限った結果なのかもしれない。併存症や有害事象の程度などとの関連についてさらに詳細な検討が必要と思われる。現在進行中の分子標的治療薬との併用療法でどのような結果が出るか大変興味深い。

(コメント・監修:寺島 雅典)