Abstract #LBA4504

CONKO-001:Final results of the randomaized, prospective, multicenter phase III trial of adjubant chemotherapy with gemcitabine versus observation in patients with resected pancreatic cancer (PC).


U. P. Neumann, et al.

背景と目的

膵癌の予後は、たとえ治癒切除が行われたとしても惨憺たる状況である。gemcitabineを用いた化学療法は進行膵癌に対する標準治療であるが、補助化学療法としての役割については未だ議論のあるところである。

対象と方法

CONKO-001試験は、治癒切除(R0, R1)が行われた膵癌に対するgemcitabineを用いた術後補助化学療法の有効性と毒性を評価することを目的に企画された、前向きのオープン多施設共同第III相試験である。R0/R1、リンパ節転移の有無、T因子別に層別化を行った後に、gemcitabine投与(G)群と無治療観察(observation:O)群に無作為に割り付けた。
  G群:gemcitabine 1,000mg/m2 day 1, 8 および 15、4週間毎、6ヵ月間投与
  O群:他の抗癌治療は何も行わない 
一次エンドポイントはDFSとし、二次エンドポイントはOSと毒性とした。

結果

1998年7月〜2004年12月までの間に368例が割り付けられ、うち354例が本試験の解析に適格であった。JAMA 2007に本研究の初回結果を示したように1) 、術後に投与するgemcitabineは忍容性があり、膵癌術後の再発を有意に遅らせた。2007年12月1日までに、303例の再発(85.6%)と293例の死亡(82.8%)が観察された。
G群はDFSの中央値を有意に延長した(G群 13.4ヵ月、O群 6.9ヵ月、p<0.001)。




また、G群の3年および5年DFSはそれぞれ23.5%、16.0%であったのに対し、O群のDFSは8.5%、6.5%であった。層別化を行った後の解析においても、G群で有意なDFSの延長がみられた。OSに関しても、gemcitabineはその中央値を有意に改善した(G群22.8ヵ月、O群20.2ヵ月、p=0.045)。3年および5年OSは、それぞれG群が36.5%、21.0%であったのに対し、O群は19.5%、9.0%であった。

結論

膵癌の治癒切除後6ヵ月間のgemcitabine投与は、無治療観察群に対して有意にDFSとOSを延長させた。

コメント

膵癌治療に光明を与えるポジティブデータが示された。CONKO-001試験については、すでに2005年米国臨床腫瘍学会年次集会で3年DFSに関してgemcitabine投与群が有意に良好であることが示されている(学会レポート )。欧米で施行されている「標準手術」で治癒切除が可能な膵癌症例に限られた成績ではあるものの、gemcitabineを用いた術後補助化学療法は膵切除術後の3年生存率を17.0ポイント、5年生存率を12.0ポイント向上させた。本発表後のディスカッションでもレベル1のエビデンスが得られたと評価され、「今後は、gemcitabineが膵癌手術後の補助化学療法としてstandard armになるであろう」と述べられた。さらに、膵癌における手術適格症例のよりよい選択法を模索するべきであることにも触れられた。

1) Oettle H, et al.:JAMA 297;267, 2007

(レポーター:野澤 寛  監修:大村 健二)