Abstract #4013

Randomized phase III trial comparing infused 5-fluorouracil/folinic acid (LV5FUs) versus LV5FU + irinotecan (LV5FU + IRI) as adjubant treatment after complete resection of liver metastases from colorectal cancer (LMCRC). (CPT-GMA-301)


M. Ychou,et al.

背景と目的

肝転移巣切除術後に5-FUを基本薬剤とした化学療法を肝動注(hepatic arterialinfusion ; HAI)とともに施行することの有用性が報告されている。1-2) なお、HAI単体での効果はすでに否定されている。3) 一方、LV/5-FUの全身投与を単独で行うことの有用性が報告された。4) また、5-FU持続静注レジメンにirinotecan (IRI) を併用することにより、切除不能進行・再発結腸・直腸癌の予後は向上した。
この国際的無作為化試験は、結腸・直腸癌肝転移症例を対象とし、転移巣切除術後の補助化学療法としてのLV5FUsに対するIRIの併用効果を明らかにすることを目的とした。

対象と方法

主たる適格条件:転移病巣に対する先行治療のない、肝転移の完全切除(R0)症例。
患者は以下の2群に無作為割り付けされた。

・A群:  LV 400mg/m2/2h iv、 5-FU 400mg/m2/2h bolus、2,400mg/m2/46h infusion、2週毎12サイクル(LV5FUs)
・B群:  FOLFIRI 180mg/m2/day1

一次エンドポイントはDFS、二次エンドポイントは安全性およびOSである。ハザード比0.64(α=5%, β=85%)を検出するために、解析は少なくとも147例の再発の後に計画し、最低でも1年間の観察を行った。

結果

2001年12月から2006年7月の間に、15ヵ国から321症例が登録され、A群153例、B群153例に無作為化割り付けされた。2群の背景(A群/B群)は、年齢中央値61歳/63歳、男性65%/59%であり、層別化因子は肝転移(1個のみ)64%/64%、原発巣切除後の補助化学療法施行35%/40%、原発巣切除1年以上経過後の肝転移診断37%/39%であった。
両群とも観察期間中央値は42ヵ月であった。
2年DFSはA群46%、B群51%であり(HR:0.89、95%CI 0.66-1.19)、DFS中央値は21.6ヵ月、B群24.7ヵ月であった。


Disease-Free Survival

いくつかの因子による層別化においても両群間に治療効果の有意差はみられなかった。しかし、手術から治療開始までの期間別に解析したところ、術後42日以内に治療を開始した場合、DFSはB群で延長傾向を示した(HR 0.75、95%CI 0.50-1.14、p=0.18)。grade 3/4の有害事象(A群/B群、%)は、全体35/51、好中球減少7/23、下痢8/15、嘔吐4/6であった。

結論

LV5FUsにIRIを併用することの有益性は証明されなかった。また、IRI併用によって有害事象はより高頻度にみられた。

コメント

大腸癌治癒切除術後の補助化学療法としてのIFLの有用性は、すでに否定されている(学会レポート)。本研究の結果により、LV/5-FU/CPT-11は肝転移巣切除術後の補助化学療法においてもその有用性が否定された。今後は、肝転移巣切除術後の補助療法として、純粋にHAIと5-FU based chemotherapyの有用性を比較するRCTの施行が望まれる。

1) Kemeny, N.et al.:N Engl J Med. 341(27): 2039, 1999
2) Kemeny, MM.et al.: J Clin Oncol. 20(6): 1499, 2002
3) Lorenz, M.et al.:Ann Surg. 228(6): 756, 1998
4) Portier, G.et al.: J Clin Oncol. 24(31): 4976, 2006

(レポーター:野澤 寛 監修:大村 健二)