レジメン講座 | 抗癌剤併用レジメンの投与法を解説します。

Docetaxel(DTX)単剤

Kang JH, et al.: J Clin Oncol. 30(13): 1513-1518, 2012
Ford HE, et al.: Lancet Oncol. 15(1): 78-86, 2014

Docetaxel(DTX)60mg/m2を1時間以上かけて3週間間隔で点滴静注する治療法である。なお、患者の状態により適宜増減し、1回最高用量は75mg/m2となっている。
韓国では二次治療(73%)、三次治療(27%)の症例を対象に化学療法群(DTXまたはIrinotecan[CPT-11]の担当医選択)とBest Supportive Care(BSC)群を比較する第III相試験1)、さらに英国では二次治療を対象にDTXとBSCを比較する第III相試験(COUGAR-02試験2))が行われた。それぞれの試験において、化学療法群はBSC群と比較して有意な生存期間延長が認められた。

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■有効性

COUGAR-02試験2)では、英国の30施設で、168例(各群84例)が登録された。DTX群の治療効果はPRが7%、SDが46%、PDが43%であった。全生存期間(OS)中央値は、BSC群3.6ヵ月、DTX群5.2ヵ月であり(HR=0.67、95% CI: 0.49-0.92、p=0.01)、DTX群の優越性が示された。
韓国の第III相試験1)では、8施設で202例(BSC群69例、化学療法群133例)が登録されて全生存成績の解析対象であったが、不適格例や登録後試験拒否例等が除かれ、BSC群62例、化学療法群126例となった。担当医が選択した化学療法レジメンの内訳は、DTX 66例、CPT-11 60例であり、OS中央値は、BSC群3.8ヵ月、化学療法群5.3ヵ月で(HR=0.66、95% CI: 0.49-0.89、p=0.007)、化学療法群の優越性が示された。DTX群のOS中央値は5.2ヵ月(95% CI: 3.8-6.6)であり、CPT-11群のOS中央値6.5ヵ月(95% CI: 4.5-8.5)と有意差は認められなかった(p=0.116)。

試験 Phase N レジメン PR SD PFS TTF OS
COUGAR-022) III 84 DTX
75mg/m2 q3wk
7%
(4/56)
46%
(26/56)
2.8ヵ月 - 5.2ヵ月
84 BSC - - - - 3.6ヵ月
韓国1) III 66 DTX
60mg/m2 q3wk
17%
(7/42)
43%
(18/42)
- 4.4ヵ月 5.2ヵ月
60 CPT-11
150mg/m2 q2wk
10%
(5/50)
42%
(21/50)
- 4.2ヵ月 6.5ヵ月
62 BSC - - - - 3.8ヵ月

■安全性

COUGAR-02試験2)におけるGrade 3/4の有害事象では、DTX群において好中球減少(15%)、感染症(15%)、発熱性好中球減少症(7%)などがBSC群に比べ多かった。
韓国の第III相試験1)におけるGrade 3/4の有害事象は、COUGAR-02試験と同様に、好中球減少(15%)がBSC群に比べDTX群で多かった。

レジメン解説執筆:東京慈恵会医科大学 消化器・肝臓内科 西村 尚 先生

References

  • 1) Kang JH, et al.: J Clin Oncol. 30(13): 1513-1518, 2012 [PubMed
  • 2) Ford HE, et al.: Lancet Oncol. 15(1): 78-86, 2014 [PubMed
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