消化器癌治療の現場から 〜外来化学療法編〜 | 消化器癌への様々な取り組みをご紹介します。
第3回 福井県済生会病院アメニティールーム(外来化学療法室)(取材日:2006年6月8日)
 Interviewer: 佐藤温先生(昭和大学)


Q. 運営組織はどのようになっているのでしょうか。

A: センターの運営は、センター長を責任者とした運営会議で検討・決定して行われています。運営会議には、利用診療科をはじめとした関係各部署のみならず、安全対策室やカルテ室、また経営的な観点から事務の方も参加しています。そして、センターの運営状況や運営会議についての報告を毎月の外来病棟合同会議で行うことにより、周知徹底しています。

Q. 患者さんの受療の流れを説明してください。

A: まず、主治医による診察を受けます。採血の結果が出るまでに約1時間かかります。主治医が投与可能と判断すれば、オーダリングシステムによりミキシング室にオーダーが入りますので、患者さんが外来化学療法センターに到着するときには薬剤の準備は完了しています。現在、10床で運営していますので、空きがなければお待ちいただくこともありますが、そうでなければ、15分以内には投与が開始されます。

図. 治療までの流れ(再診患者)


Q. 院内プロトコールの登録はどのように行っていますか。

A: センター開設時からレジメン審査委員会を設け、各診療科で使用しているレジメをまとめ、エビデンスレベル、倫理性、経済性などを評価して取捨選択し、登録しました。臨床研究に関しても同様で、その根拠を明確にすることとしました。また、プロトコールには制吐剤やステロイドなどの支持療法も統一して盛り込みました。これにより、投与ミスを防ぎ、安全性が向上します。現在は、毎月1回レジメン審査委員会を開き、各診療科から申請のあったプロトコールを審査して登録しており、これまでに66のプロトコールが登録されています。さらに、各診療科共通の7プロトコールについては、クリニカルパスも作成しています。投与時の副作用チェックなどを統一化することで、安全性を確保することが目的です。

Q. 治療中や治療後に帰宅してからの緊急時の対応はどうなっていますか。

A: 投与中は、専任2名を含む3名の看護師が患者さんに対応しています。副作用等がみられた場合には、主治医に連絡するか、緊急性が高いと判断すれば専用のコールにより救急の医師が駆けつけてくれることになっています。帰宅後の問い合わせには、当センターや薬剤部、各診療科など、それぞれで対応しています。夜間は、救急外来で受診できるようになっています。

Q. ルート確保、ポートの留置・抜針は誰が行いますか。

A: ルート確保は、医師が行っています。いずれは、海外のように専任の看護師が行えるようになることが目標です。ポート留置については、ほとんどの患者さんが短期入院して行いますので、その際にDVDを用いて抜針も含めた患者教育を行います。しかし、抜針は患者さん個々の事情に応じて、来院してもらったり、かかりつけ医で行うこともあるのが実情で、自己抜針時のトラブルも含めて、現在、対応を検討中です。

Q. 副作用対策や、患者さんへの情報提供はどのようにされていますか。

A: すべての患者さんに対して、ベッドサイドで薬剤師が副作用のモニタリングを行っています。また、医師がパンフレット等を用いて説明することもあり、そうした全体をみながら、看護師が重複や抜け落ちがないようにバックアップしています。


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