PLANET試験は、肝限局転移を有する
KRAS 野生型大腸癌患者に対するFOLFOX4 + PanitumumabとFOLFIRI + Panitumumabについて検討した、オープンラベル無作為化第II相試験である
(図1)。本報告では、プロトコールで事前に規定されたサブ解析として、
KRAS exon 2変異以外の
RAS 変異に関する有効性について検討した。
図1
本試験に登録された77例のうち
KRAS exon 2以外の
RAS 変異の解析が可能だったのは64例 (83.1%) であり、11例 (17.2%) で新たに
RAS 変異が認められた
(図2)。
図2
試験全体の奏効率は70.1%で、FOLFOX4 + Panitumumab群73.7%、FOLFIRI + Panitumumab群66.7%であった。一方、
RAS status確定例における奏効率は、
RAS 野生型75.5%
(図3)、
RAS 変異型54.6%であった。
RAS 野生型の52.8%で術前療法後に外科的切除が行われ
(図3)、切除不能例 (39例) の53.8%で外科的切除が可能となった。
RAS 野生型におけるR0 + R1切除率は39.6%で
(図3)、R0切除率32.1%、R1切除率7.5%であった。
図3
RAS 野生型は
RAS 変異型に比べてPFS (中央値13.4 vs. 12.6ヵ月, p=0.346) およびOS (中央値44.7 vs. 31.4ヵ月, p=0.621) で良好な傾向がみられたものの有意差は認めなかったが
(図4)、これはサンプル数が少ないためと考えられた。
RAS 野生型における治療群別の検討では、FOLFOX4 + Panitumumab群とFOLFIRI + Panitumumab群との間にPFS (12.8 vs. 14.8ヵ月, Wilcoxon検定p=0.675)、OS (39.0 vs. 45.8ヵ月, Wilcoxon検定p=0.634) いずれも有意差は認められなかった。また、
RAS 変異型でも同様に治療群間に有意差は認められなかった。
図4
RAS 野生型におけるgrade 3/4や重篤な治療関連有害事象の頻度は治療群間で差はなく、切除例の周術期の有害事象にも有意差は認めなかった
(表1)。一方、grade 3/4の好中球減少および末梢神経障害はFOLFOX4 + Panitumumab群で多い傾向がみられた
(表2)。なお、
RAS 野生型においてFOLFOX4 + Panitumumab群11例 (40.7%)、FOLFIRI + Panitumumab群11例 (42.3%) が死亡したが、治療関連死はなかった。
表1
表2