切除不能進行・再発大腸癌に対する1st-lineにおけるFOLFOX4 ± Panitumumabを検討した
PRIME試験1)、および2nd-lineにおけるFOLFIRI ± Panitumumabを検討した
20050181試験2)において、
KRAS exon 2以外の
RAS 変異がPanitumumabの有効性に影響を与えることが示された。また、いずれにおいても
BRAF 変異が予後不良因子であることも報告されている
1, 2)。
本報告は、切除不能進行・再発大腸癌に対する1st-lineとしてのFOLFIRI + Panitumumabを検討した第II相試験
3)における、後ろ向きな
RAS /
BRAF 解析である。
対象は、ECOG PS 0-2で、組織学的/細胞学的に診断され放射線学的に評価可能な未治療の切除不能進行・再発大腸癌患者で、主要評価項目は奏効率、副次評価項目は病勢コントロール率、奏効期間、PFS、TTP (time to progression)、安全性であった。なお、KRAS exon 2にはScorpion ARMS法 (DxS社)、その他のKRAS exon 3, 4、NRAS exon 2, 3, 4、BRAF exon 15には、双方向性のサンガー法によるDNAシークエンスが用いられ、変異の有無が評価された。
154例中150例において
RAS /
BRAF 検査が行われ、150例中15例 (10%) で
KRAS exon 2以外の
RAS 変異が認められた
(図1)。
RAS データが得られた143例中69例 (48%) が
RAS 野生型であり、74例 (52%) が何らかの
RAS 変異を有していた。また、
BRAF 変異は
RAS 野生型に9例認められた。
図1
対象の年齢中央値は63歳で、
RAS 野生型 (69例)、
RAS 変異型 (74例)、
RAS および
BRAF 野生型 (60例)、
RAS もしくは
BRAF 変異型 (83例) の患者背景は同様であった。
抗腫瘍効果は141例が評価可能であり、奏効率は
RAS 野生型59%、
RAS 変異型41%、
RAS および
BRAF 野生型68%、
RAS もしくは
BRAF 変異型37%と、
RAS 野生型、
BRAF 野生型で良好であった
(表)。
表
奏効期間中央値は、
RAS 野生型13.0ヵ月、
RAS 変異型5.8ヵ月であり、
RAS 野生型で有意に良好であった (HR=0.16, 95% CI: 0.07-0.37)。
PFS中央値は、
RAS 野生型11.2ヵ月、
RAS 変異型7.3ヵ月、
RAS および
BRAF 野生型13.2ヵ月、
RAS もしくは
BRAF 変異型6.9ヵ月であり、
RAS 野生型、
BRAF 野生型で良好であった
(図2)。
TTP中央値はそれぞれ13.2ヵ月、7.3ヵ月、13.3ヵ月、7.2ヵ月、切除率はそれぞれ13%、9%、15%、8%であり、いずれも
RAS 野生型、
BRAF 野生型で良好であった。
なお、本解析において新たに問題となる有害事象は認められなかった。
図2
1) Duillard JY, et al.: N Engl J Med. 369(11): 1023-1034, 2013 [
PubMed]
2) Peeters M, et al.: 2014 Annual Meeting of the American Society of Clinical Oncology
®: abst #3568
3) Kohne CH, et al.: J Cancer Res Clin Oncol. 138(1): 65-72, 2012 [
PubMed]