大腸癌患者における年齢は上がっているものの
1)、臨床試験では高齢者は対象から除外されることが多く、エビデンスに基づく有効性や安全性の評価が十分ではない。一方、これまでに報告された高齢者を対象とした後ろ向きの解析や臨床試験では若年患者と同様の治療ベネフィットが得られることが示唆されている
2-6)。
今回、切除不能進行・再発大腸癌患者に対する1st-lineとしてのFOLFOX4 ± Panitumumabを検討した
PRIME試験7)における
RAS 野生型のデータを用い、ベースライン時の年齢別の有効性と安全性を評価する探索的解析を実施した。
PRIME試験の対象は、ECOG PS 0-2で主要臓器機能を有し、評価可能病変を有する未治療切除不能進行・再発大腸癌患者であり、FOLFOX4 + Panitumumab (6.0mg/kg, 2週毎) を投与する群 (Panitumumab群) とFOLFOX4を投与する群 (FOLFOX4群) に1:1で無作為に割り付けた
8)。
本探索的解析は
PRIME試験において80%以上の症例にOSイベントが生じた段階で実施され、
RAS 野生型のみが対象となった。有効性および安全性に関する解析は、ベースライン時の年齢により65歳未満、65歳以上75歳以下、65歳以上、75歳超の4つのサブグループに分け検討された。なお、有効性の評価項目は、奏効率、PFS、OSであった。
RAS 野生型505例が対象となり、年齢中央値61歳で、65歳未満が60%を占めた。Panitumumab群253例 (65歳未満158例、65歳以上75歳以下79例、65歳以上95例、75歳超16例)、FOLFOX4群252例 (各158例、76例、94例、18例) であり、患者背景は各サブグループいずれもバランスが取れていた。
奏効については494例が評価可能であり、奏効率は、症例数の少ない75歳超を除きPanitumumab群がFOLFOX4群に比べ良好であった
(表1)。
表1
PFSは、65歳未満でPanitumumab群がFOLFOX4群に比べ有意に良好であり、65歳以上、および65歳以上75歳以下では、良好な傾向がみられた
(図 A)。OSでも同様の傾向を示し、65歳未満ではPanitumumab群が有意に良好であった
(図 B)。なお、症例数の限られた75歳超では、PFS、OSともにFOLFOX4群で良好な傾向がみられた。
図
安全性上、新たに問題となる事象は、いずれのサブグループにおいても認められなかった。重篤もしくは治療関連の重篤な有害事象は、特にPanitumumab群において年齢の上昇とともに増加する傾向がみられた
(表2)。頻度の高かった重篤もしくは治療関連の重篤な有害事象は、Panitumumab群が下痢、FOLFOX4群が嘔吐であったが、年齢による発現率の差は認められなかった。
表2
1) Kordatou Z, et al.: Ther Adv Med Oncol. 6(3): 128-140, 2014 [
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2) Cassidy J, et al.: J Cancer Res Clin Oncol. 136(5): 737-743, 2010 [
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3) Jehn CF, et al.: Br J Cancer. 106(2): 274-278, 2012 [
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8) Douillard JY, et al.: J Clin Oncol. 28(31): 4697-4705, 2010 [
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