Abstract #4006

Initial safety report of NSABP C-08, a randomized phase III study of modified 5-fluorouracil (5-FU)/leucovorin (LCV) and oxaliplatin (OX) (mFOLFOX6) with or without bevacizumab (bev) in the adjuvant treatment of patients with stage II/III colon cancer.


C. J. Allegra,et al.


背景と目的

現在、進行大腸癌に対する化学療法としてFOLFOX + BV療法が施行されている。C-08試験はstage II-III結腸癌患者に対する術後補助化学療法における、mFOLFOX6 へのbevacizumab (BV)の上乗せ効果を検討することを目的としている。今回の報告では術後補助化学療法におけるmFOLFOX6 + BVの安全性について検討した。

対象と方法

術後29日から50日までのECOG PS 0-1の2,710名の対象患者を以下のように無作為化した。
mFOLFOX6群 (1,356名) : L-OHP 85 mg/m2 + LV 400 mg/m2 + 5-FU 400 mg/m2 bolus + 5-FU 2,400 mg/m2 infusion(46時間)。以上を2週間毎に12回、6ヵ月間投与。
mFOLFOX6 + BV群 (1,354名) : 上記mFOLFOX6(6ヵ月)に加えて、BV 5mg/kgを2週間毎に26回、1年間投与。
一次エンドポイントはDFSとしたが、今回は安全性の検討にとどまった。

結果

75%の患者が12回中10回以上のL-OHPの投与を受けることが可能であった。BV併用群において61%の患者が26回中21回以上のBVの投与を受けることが可能であった。BVの併用により、mFOLFOX6の投与量やdose intensityは減少しなかった。治療関連死亡は両群に有意差は認められなかった。
化学療法関連毒性では、grade 2の神経障害の頻度がBV併用群で16% であり、mFOLFOX6群の14%と比較して有意に高かった(p<0.01)。

BV併用による、心血管系の虚血、消化管穿孔、出血などの毒性の増加は有意ではなかった。




BV投与によりgrade 3以上の高血圧、創傷合併症、蛋白尿や痛み(胸痛、関節痛、筋肉痛)は増加したが、適切な処置を施行することにより対応可能であった。




結論

stage II/III結腸癌の術後補助化学療法として、mFOLFOX6 + BVは十分に忍容性があった(試験開始28.5ヵ月の時点での評価)。ただし、BVの上乗せ効果は未判定であり、またBV関連の遅延性合併症が出現する可能性があるために長期間のフォローアップが必要であり、現時点では推奨できない。

コメント

MOSAIC試験により、欧米ではstage II/IIIの大腸癌の術後化学療法としてFOLFOXが推奨されているが、本試験はそれをさらに進めてBV併用の可能性を検討している。日本においては、術後補助化学療法としては依然FOLFOXは承認されていない。手術手技(技術)の違いを考慮に入れ、医療費高騰を懸念しながら、今後慎重に導入を検討する必要があると思われる。また、本報告によると60歳以上、特に70歳以上の高齢者においては、BV併用によりgrade 4以上の有害事象の頻度が高くなるために、注意が必要であると考えられた。

(レポート・コメント:高石 官均)

Stage II/III結腸癌を対象とした術後補助化学療法において、mFOLFOX6に対するbevacizumabの上乗せ効果を検証したNSABP C-08試験の安全性に関する報告である。高血圧、蛋白尿、疼痛、創関連の合併症などbevacizumabに関連する有害事象がわずかに増加しているものの、認容性は極めて高いものと思われる。長期毒性に関しては不明であり、治療成績とともに今後の報告が待たれる。

(コメント・監修:寺島 雅典)