レジメン講座 | 抗癌剤併用レジメンの投与法を解説します。

FOLFIRI+Aflibercept

*CPT-11の結腸・直腸癌における国内承認用量は150mg/m2である。ただし、投与量は、年齢、症状により適宜増減する。

Van Cutsem E, et al.: J Clin Oncol. 30(28): 3499-3506, 2012

Afliberceptは、VEGFR-1, -2の細胞外ドメインの一部をヒトIgG1のFc領域に融合させた組換え融合蛋白質である。VEGF-A、VEGF-B、PLGFに結合することでVEGFR-1, -2への結合を阻害し、腫瘍における血管新生を阻害するとされている。
オキサリプラチン不応・不耐例を対象とした第III相試験(VELOUR試験)において、2次治療としてのFOLFIRIに対するFOLFIRI+Afliberceptの優越性が検証された1)
2017年3月に「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の効能・効果で厚生労働省より製造販売承認を取得した。

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◆VELOUR試験

Oxaliplatin不応の切除不能進行・再発大腸癌患者における2nd-lineとしてのFOLFIRI+プラセボ(プラセボ群、n=614)に対するFOLFIRI+Aflibercept(Aflibercept群、n=612)の優越性を検証した第III相試験である。

■有効性

観察期間中央値は22.3ヵ月であった。主要評価項目であるOSは、Aflibercept群の中央値13.5ヵ月、プラセボ群の中央値12.1ヵ月であり(HR 0.82、p=0.0032)、Aflibercept群で有意に良好であった。
副次的評価項目(Aflibercept群/プラセボ群)であるPFSは、中央値6.9/4.7ヵ月(HR 0.76、p=0.0007)、奏効割合は19.8/11.1%(p=0.0001)であり有意にAflibercept群で良好であった。
Bevacizumab投与歴によるサブグループ解析では、OS中央値(Aflibercept群/プラセボ群)は、Bevacizumab投与歴あり(各群の30%の症例)で12.5/11.7ヵ月、Bevacizumab投与歴なしで13.9/12.4ヵ月であり、Bevacizumab投与歴の有無に関わらずAfliberceptの上乗せ効果が示唆された。

  FOLFIRI+Aflibercept
(n=530)
FOLFIRI+プラセボ
(n=531)
HR
(95% CI)
P値
OS 13.5ヵ月 12.1ヵ月 0.817
(0.71-0.94)
0.0032
PFS 6.9ヵ月 4.7ヵ月 0.758
(0.66-0.87)
0.0007
奏効割合 19.8% 11.1% 0.0001

■安全性

Aflibercept群でより高頻度に認められたgrade 3以上の有害事象(Aflibercept群/プラセボ群)は、下痢(19/8%)、口腔粘膜炎(14/5%)、好中球減少(37/30%)、感染(12/7%)、高血圧(19/2%)、蛋白尿(8/1%)などであり、有害事象に伴う治療中止例(27/12%)は、Aflibercept群で高頻度であった。

本邦では、VELOUR試験と同じ対象にFOLFIRI+Afliberceptの第II相試験(n=62)が施行され、日本人における有効性(奏効割合8%、PFS中央値5.4ヵ月、OS中央値15.6ヵ月)と安全性(grade 3以上の有害事象:好中球減少61%、下痢19%、口腔粘膜炎8%)が確認された2)

レジメン解説執筆:愛知県がんセンター中央病院 薬物療法部 加藤 恭子 先生/舛石 俊樹 先生

References

  • 1) Van Cutsem E, et al.: J Clin Oncol. 30(28): 3499-3506, 2012[PubMed
  • 2) Satoh T, et al.: J Clin Oncol. 35, 2017 (suppl 4S; abstract 707)
関連リンク
  • 副作用対策講座「下痢
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