以前、日本における進行膵癌に対するTS-1の効果は37.5%と報告されている。また、以前実施された進行膵癌に対するgemcitabine+TS-1併用化学療法(GS)の第 I 相試験では忍容性があるものと思われた。今回の多施設共同第II相試験は転移性膵癌に対し、GSの効果と安全性を確認するために実施された。
測定可能な転移巣があり、組織学的または細胞診にて膵腺癌もしくは腺扁平上皮癌であることが判明しており、膵癌に対し手術以外の前治療が実施されておらず、十分な臓器機能が保たれている症例(20~75歳、ECOG
PS 0~1)を対象とした。
GSはg emcitabine 1,000mg/m2 i.v. day 1、8、TS-1 80mg/m2/日
day 1~14経口投与。PDもしくは許容できない毒性が出現するまで3週間ごとに繰り返した。
一次エンドポイントは奏効率(RR、RECISTに基づく)、二次エンドポイント:毒性、PFS、OSとした。
登録55例中少なくとも1コース以上のGSが実施された54例を対象に効果と毒性を解析した。
GS施行回数(中央値)は7回(1~24回)、治療期間(中央値)は5.1ヵ月(0.5~17.1ヵ月)であった。
RECIST基準によるRRは44.4%[95%CI 30.9~58.6]であり、内訳はCR 0%、PR 44.4%、SD 48.1%、PD 3.7%、NE
3.7%であった。
CA19-9による効果判定(n=41)では85.4%[95%CI 70.8~94.4]で有効であった。50%以上の減少が85.4%で認められ、50%未満の減少は7.3%、増加は7.3%であった。
PFSは5.9ヵ月[95%CI 4.1~6.9]、OSは10.1ヵ月[95%CI 8.5~10.5]、1年生存率は33.0%であった。
グレード3~4の有害事象として、好中球減少(80%)、白血球減少(59%)、血小板減少(22%)、食欲不振(17%)、発疹(7%)、倦怠感(6%)、およびグレード3/4の好中球減少に伴う感染(2%)が認められた。治療関連死亡はなかった。
転移性膵癌に対するGSはRRが高くOSも良好であり、毒性も許容範囲である。
GSの効果を確認するために現在無作為化第III相試験の実施を計画中である。
進行膵癌に対してわが国で有効性が認められているTS-1とGEMの併用による第II相試験である。TS-1単剤でのRRが37.5%、TTP3.7ヵ月、MST8.8ヵ月であり、併用療法によりRRよりもPFS、OSが著明に延長していた。毒性としては好中球減少の頻度が高いものの感染を伴う症例は少なく、安全に施行可能な治療法と思われた。今後、第III相試験にて有効性を確認する必要があるが、対照をGEM単独とするか、TS-1単独とするか十分に考慮する必要があるものと思われる。
(レポーター:佐瀬善一郎 監修:寺島雅典)
Abstract #4550
A multicenter phase II study of gemcitabine and S-1 combination therapy (GS therapy) in patients with metastatic pancreatic cancer.
Hideki Ueno, et al.
