膵癌において、上皮細胞増殖因子受容体(epidermal growth factor receptor:EGFR)を介したシグナル伝達経路の活性化が認められている。CetuximabはEGFRを阻害するモノクローナル抗体であり、ヒト膵癌モデルマウスにおける抗腫瘍効果が確認され、膵癌患者を対象とした第II相パイロット試験においてgemcitabineとの併用により1年生存率の改善が示唆されている。このため、局所進行・転移性膵癌に対するgemcitabine+cetuximab療法とgemcitabine単独療法の第III相試験を施行し、cetuximabの上乗せ効果の有無を確認した。
組織学的または細胞診にて確定した、局所進行または転移性膵癌患者で、術後化学療法以外の全身化学療法を受けていないECOG PS 0~2の患者を対象とした。735例(登録766例)をgemcitabine+cetuximab群(G+C群)とgemcitabine単独群(G群)に無作為化した。Gemcitabineは1,000mg/m2/週を7週間投与1週休薬、以後は3週投与1週休薬とした。Cetuximabは開始用量として400mg/m2を投与し、以後は毎週250mg/m2を投与した。
一次エンドポイントはOS、二次エンドポイントはTTF、奏効率(RR)、QOL、毒性、EGFR発現と効果との関連性とした。
OS、PFSには両群で有意差は認められなかった。TTFはG+C群で有意に延長した。
RRにも大きな差は認められなかった。
重篤な有害事象としてG+C群においては、皮疹(グレード3:7.1%)およびアレルギー反応(グレード3:3.1%、グレード4:0.3%)が認められた。
進行膵癌患者において、gemcitabine+cetuximab療法の忍容性は高かった。しかし、cetuximabの併用はOS、PFSを延長しなかった。現在、疼痛とQOL、EGFR発現と皮疹の関連について検討中である。
1997年にgemcitabineが5-FUより進行・再発膵癌に対して有用であることが証明され、それ以来gemcitabineは膵癌に対する標準治療薬となり、gemcitabine vs gemcitabine+Xの第III相試験が広範に行われてきた。本邦ではgemcitabine±分子標的薬(cetuximab)の比較第III相試験ではあるものの、両群間にOS・RRともに差は認められなかった。このことは前報の#4508の進行・再発膵癌を対象としたbevacizumab on/offの第III相試験でも同様であり、gemcitabineに対するbevacizumabの上乗せ効果は示されなかった。これまでgemcitabineとの上乗せ効果を示したのはcapecitabineとerlotinibであるが、前者は再現性がなく、後者のMSTの延長は1ヵ月以下であった。Cetuximabと化学療法との組み合わせはE8200研究でdocetaxel+CPT-11の上乗せ効果が検討されたが、こちらの結果もnegativeであった。一方、FOLFIRINOXがgemcitabine単独よりも有用であったとの報告もあり、gemcitabine vs gemcitabine+Xから離れて別のレジメとの対比も必要かもしれない。
(レポーター:高石官均 監修:久保田哲朗)
Abstract #LBA4509
Phase III study of gemcitabine [G] plus cetuximab [C] versus gemcitabine in patients [pts] with locally advanced or metastatic pancreatic adenocarcinoma [PC]: SWOG S0205 study.
Philip A. Philip, et al.