ASCO2007 | American Society of Clinical Oncology 2007 June 2th-6th at Chicago,Illinois

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現地座談会

日本の癌治療は今後どう変わるのか

久保田 今回、ASCOのレポーターを務めてくださった先生方に、ASCOの感想をお聞きしたいと思います。
  初めてのASCOはとても刺激的でした。日本の大規模試験には私も症例を登録したので、ワクワクして参加したのですが、その期待を裏切らないだけのものがありました。

佐瀬  私も今回が初めてで、規模の大きさに圧倒されました。エビデンスレベルの高い発表が多く、今後も頑張って臨床試験に参加させていただこうと思いました。

高石  今年は日本から胃癌に関する大規模第III相試験が発表され、日本人として誇らしい気持ちになりました。大腸癌領域でも、周回後れだったものが世界に追いつける素地ができてきたと思いますし、膵癌に関してはすでにTS-1が使えるということで、海外より先行できると思われる面もありました。

久保田 では最後に、これからの日本の癌治療についてのご意見をお聞かせください。

大村  15年前の胃癌や大腸癌の治療は外科治療が主体で、再発したら効く薬がないという状況でした。その後、まず大腸癌の化学療法の成績が大きく延びました。今後は大腸癌に大きな変化がない間に胃癌の成績が追いついてきて、そのうち膵癌の成績も動き始めるかもしれません。内科医と外科医が今まで以上に力を合わせて、消化器癌を治療する時代が来ていると思います。

坂本  日本では今、診断群分類別包括評価(DPC)という医療制度が導入され、入院期間の短縮が至上命題になってきています。その結果、外科医が今後も、従来のような拡大郭清手術を続けることができるかという懸念があります。今回のASCOでは、希少な癌腫についてもきちんとした試験が行われており、進歩の速さに感銘を受けました。今後、日本の癌治療も進歩すると思いますが、行政の方針が変化する方向によっては医師が患者さんに今までに確立された日本の標準治療を施せなくなるというリスクもあるかと思っています。

寺島  勉強になったと同時に、新たな疑問も湧いてきました。腫瘍内科医の先生方にお聞きしたいのですが、TS-1単独療法と併用療法の比較試験が出てきて、たぶん併用療法が勝つと思うのです。そうすると併用療法がすべて標準治療になるのでしょうか。

  今回TS-1+CDDPが出て、次にTS-1+CPT-11、TS-1+docetaxelが出て、これからどうなっていくのかということですが、もし仮に各TS-1+αの治療がTS-1に勝ったとしても、私自身は各々の治療をhead to headの比較試験という形で決着をつける必要はないと思っています。正直first lineで競い合っても、OSではドングリの背比べとなるだろうし、時間ばかりがかかってしまいます。今後の臨床試験結果次第で勿論仮定の話ですが、TS-1ベースの併用レジメ(TS-1+α)がすべて標準治療の一つという位置づけであり、各々については毒性プロファイルの違いや病態に応じて使い分けていけば良いことだと思います。次のステップとしては、TS-1+α+分子標的薬でブレークスルーを狙っていく方向性を重視していくべきと考えます。
結腸・直腸癌の肝切除については、高価で毒性の強いレジメを手術前後に行うことに多少の疑問を感じます。ただ、術後補助療法に関してはこれまでもポジティブな結果が報告されていたことから、手術単独という治療選択は難しいというのが私の見解です。

瀧内  私も同じ意見です。各種のTS-1試験で併用群がすべてポジティブであれば、TS-1の併用相手はどの薬剤でもよいだろうと思います。その場合、サブ解析を行って、病態に応じた選択ができるようになるのではないかという期待もあります。

寺島 それから、切除可能な肝転移症例に対する術前化学療法をどうするのか。FOLFOXによる術前化学療法はPFSで有意差を認めたという報告があり、標準治療になるような雰囲気ですが、discussantの先生はほとんど意味を認めていないような発言をされていました。私自身も、切除可能なら術前化学療法はしないと思うのですが……。

瀧内 私も同じ意見ですね。切除可能な肝転移症例には、術前補助療法は必要ないと思います。肝切除は回復も早く、術後補助療法もスムーズに行えます。

大津  今年は、胃癌におけるTS-1の開発が終了した節目の年だといえます。今後は、その先のことをやっていかなければなりません。すでに胃癌を対象としたtrastuzumabの国際共同治験が進行中であり、さらにbevacizumab、lapatinibなどの国際共同治験も間もなく始まります。これらの国際共同治験で日本が中心的役割を担っていければよいと考えています。

久保田  この座談会は今回で7回目になります。初めて腫瘍内科医の先生にご参加いただき、貴重なご意見をいただきました。本日はどうもありがとうございました。

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