見学・実習も充実した内容で、翌週から治療を始めることを前提に、実際に役立つ技術を身につけることが目標になっている。
 1日目には、インフォームドコンセントを見学する。
 2日目には、静脈ポートの留置を見学する。FOLFOXを行うためには必ず必要となる技術だ。また、外来治療センターの見学も行う。
 3日目にはFOLFOX4+BEVの投与第1日目の治療、4日目にはFOLFOX4+BEVの投与第2日の治療を見学する。これで、癌研有明病院で行われているFOLFOX4+BEVの治療を、一通り見学したことになる。また、4日目には薬剤部の見学も行われる。こうして、医師、薬剤師、看護師が、それぞれどのような仕事をこなしていくのかを勉強する。
 5日目は、病棟での患者理解度チェック、日常生活指導の見学を行う。
 そして空き時間には、患者さん向けパンフレットや同意書などの説明資材を作る。癌研有明病院で使われているものを元にして、実際にパソコンを使って作成するのだ(図3)。
 2施設の参加者が作成した説明資材について、癌研有明病院化学療法科の水沼信之先生は、次のように講評した。
「細やかによく作られていますが、写真や絵を利用して、パッと見てわかることも大切です。お年寄りでも読めるように文字を大きくして、なるべく無駄な部分を削って簡潔な説明にしたほうがいいでしょう。パンフレットの作成に時間をかける必要はないので、癌研有明病院のものを必要に応じて作り変えれば十分だし、製薬会社が提供する資材をそのまま活用するのもいいと思います。施設オリジナルのものを作ろうとは考えないほうがいいですね」
 翌週から、自分たちの施設で治療を始めるためには、この5日間の研修ですべての準備を終わらせておく必要がある。説明資材も、手間と時間をかけずに、且つわかりやすく作ることの重要性が強調されていた。

図3 患者向け投与スケジュール(上:癌研有明病院、下:都城市郡医師会病院)

都城市郡医師会病院では、施設に戻ってからすぐに使えるように、現在多く施行しているFOLFOX4の説明資材を作成した。
抗アレルギー薬や胃酸分泌抑制薬を加える、5-FU急速静注の時間を変えるなど、自分たちの施設に合わせて細部を作り変えている。