この研修では、充実した内容の講義がプログラムに組み込まれている。その一部をみてみよう。
 1日目には、先に紹介した畠先生による講義と、静脈ポートの留置と管理についての講義があった。FOLFOXでは、5-FUの持続静注のために、静脈ポートの留置が必要となる。まず、植え込み手術によって、鎖骨下あるいは上腕に適切にポートを留置することが重要となる。また、ポートが不具合を起こしたときに、それに適切に対処できなければならない。どのような原因で、どのような不具合が生じるのか。また、それにどう対処するのか。多くの実例画像を紹介しながら、実践的な講義が行われた。
 3日目は、癌研有明病院における大腸癌の化学療法の講義があった。“標準治療とは何か”というところから始まり、海外の標準治療や臨床試験データを紹介しながら、現在、癌研有明病院が参加している臨床試験を含めた最新の化学療法についての解説があった。
 FOLFOX4+BEV投与の実際についての講義も行われた。入院での導入療法〜外来治療センターでの化学療法施行の流れから、どのような有害事象が現れるのか、どのように有害事象に対応すべきかが具体的に解説された。
 また、患者が自分の受けている治療内容や有害事象を理解することの重要性が強調された。特に、FOLFOXでは、在宅で持続静注を行い、抜針まで行うので、患者が十分に理解していないと、危険な事態を招くことも考えられる。患者の理解を高めるためには、どのようなパンフレットを作り、どのようなポイントを説明すればよいのか、具体例を提示しながら、効果的な方法が紹介された。