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副作用対策の基礎知識

 従来、がん化学療法の臨床試験では各国で異なる評価基準が用いられていたが、1998年に策定された医薬品規制調和国際会議(ICH: International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use)のガイドラインにより、外国の臨床試験データの共通理解と評価、受け入れの促進を目的に、共通した定義と評価規準を用いることが推奨された。現在はCTCAE(後述)ががん化学療法の臨床試験における副作用評価のスタンダードとして広く用いられている。昨今は実臨床においてもCTCAEに基づく副作用評価を導入する施設が増えている。

CTCAE

 米国国立がん研究所(NCI: National Cancer Institute)によって策定された有害事象(AE)共通用語規準。CTCAE v5.0が最新版である(2019年3月時点)。日本語版は、JCOG(Japan Clinical Oncology Group)によって作成・公開されている。
 一般的なGradeは以下の5段階に分類される。さらに、それぞれの有害事象についてGrade分類の詳細が定義されている。

JCOGウェブサイト(http://www.jcog.jp/doctor/tool/CTCAEv5J_20180730_v21_0.pdf)より作表

MedDRA(Medical Dictionary for Regulatory Activities)

 MedDRAは、ICHの合意のもとに作成された医学用語辞書である。CTCAEでも2008年からMedDRAに対応し、有害事象の各名称はMedDRAで定められた用語が用いられている。日本語版(MedDRA/J)は、一般財団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団により作成されている。

QOL評価

 CTCAEで取り扱われる有害事象はほとんどが身体的なものであるが、palliative chemotherapyによって長期の予後が得られるようになり、緩和ケアだけでなく化学療法においてもQOLが重視されている。欧米の臨床試験では、EORTC(European Organisation for Research and Treatment of Cancer)によるQOL質問票(EORTC QLQ-C30)が用いられることが多い。

PRO(Patient Reported Outcome)

 面接や自己記入式質問票、治療日誌などのツールを用いて収集された患者/被験者の主観的評価。症状や治療満足度、アドヒアランスなどを含めたアウトカムの評価に用いられる。

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